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10月23日 16時13分

国の後押しで急速に進められている企業の「働き方改革」。長時間労働の是正などが求められ、会社側と部下との板挟みになって、ジレンマに悩まされるのが課長や部長といった中間管理職です。その実情を取材し紹介したところ、SNSなどでは「どこも似た悩みもっている」とか「業務量が減らず効率化も進まなければ、残った仕事は中間管理職に回ってくる」など、共感する書き込みが数多く見られました。

(ネットワーク報道部記者 野田綾)

17人の部下がいる管理職

今回取材したのは都内のコンサルティング会社に勤める真田純子さん(48)。会社は公共工事など大規模な事業を得意とし、1700人余りの従業員がいます。

真田さんは大学の農学部を卒業したあと就職し、現在は課長級の管理職として17人の部下がいます。専門は環境関連ですが、管理職としての仕事は自身のキャリアを生かした実務指導に加え、部下の勤務管理と業務の効率化です。

「休みも休みでないよう」

真田さんが毎日欠かさず目を通すのが部下からの業務報告メールです。全員が出勤・退勤の際に送信して、スマートフォンに転送されてきます。会社でも自宅でも外出先でも、部下の勤務時間を把握することになり、「休日に連絡が入ることもあるのでメールをチェックしない日はありません。休みも休みでないようで落ち着きません」と苦笑いしていました。

2つのジレンマ

働き方改革を進める中で中間管理職が感じる悩みは何か? 真田さんを取材すると2つのジレンマが見えてきました。

今月のある日、真田さんは社内の別の中間管理職の男性と意見交換しました。1つ目のジレンマ、「業務量が減らない中で勤務時間だけを減らすこと」への答えを探るためです。コンサルティングの仕事は顧客への直接対応もあるため、残業は当たり前とされます。

2人は、全体の仕事量が減らないのに残業や休日出勤を減らすにはどうすればよいのか、話し合いました。そして、社員一人一人が、みずから働き方を見直して互いに支え補い合う姿勢こそが大切だと確認していました。
もう1つのジレンマは人材育成に関するものでした。2人は、自分たちの若い頃はワークライフバランスが二の次だったことや、仕事をとおして多くのことを経験し成長してきたこと、それに子育て中であってもがむしゃらに働き、残業も当たり前だったことなどを振り返っていました。

そのうえで現在の状況について、「入社年次が同じ社員には同じチャンスをあげたいし、平等に育てるのが管理職の力量だと思う。中には『時間が許されればとことん仕事をやりたい』という部下もいるが、希望をすべてかなえてあげることはできない。やる気がある部下が、ルールを無視して突っ走ることができない状況ができつつある」と課題を認識し、限られた時間の中での部下の育成に頭を悩ませていました。
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