https://www.cnn.co.jp/m/fringe/35109183.html

(CNN) 米東部ニュージャージー州マディソンの市役所の片隅でこのほど、彫刻家オーギュスト・ロダンの作品が数十年ぶりに「発見」された。

400万ドル(約4億5000万円)以上の価値があるとみられる彫像が見つかったきっかけは、役所の入っている建物「ハートリー・ダッジ・メモリアル」にある芸術作品の維持管理を行っているハートリー・ダッジ財団が2014年にパートタイムの記録係としてマロリー・モルティラロさんを採用したことだった。

建物内にある作品のリストを作るなか、モルティラロさんは部屋の片隅にあるナポレオン・ボナパルトの上半身の彫像に行き着いた。


財団によれば、建物の改装工事中、彫像は2年の間ベニヤ板の箱に入れられていたという。

モルティラロさんが彫像の底に触れると、何かが刻まれているのを感じたという。それは、彫刻家のサインだった。

モルティラロさんはCNNの取材に対し、「興味をそそられた。この作品が誰にも知られずになぜここにあるのか、少し困惑した」と語った。

モルティラロさんは管財人に自分が何を見つけたのかを伝えた。財団のトップ、ニコラス・プラットさんらは当初、モルティラロさんの話に耳を傾けなかったという。

財団にはどうして建物の中にその彫像があるのか、あるいは、その彫像がどこから来たのかの情報がなく、モルティラロさんは真贋(しんがん)を確かめようと決心した。

パリにあるロダン美術館の元専門家に連絡を取ると、実物を見るために訪米するとの返事が来た。同専門家によれば、その彫像は何十年も前に行方が分からなくなっていたという。

モルティラロさんがCNNに説明したところによると、この彫像は1904年に制作依頼が行われ、4年後に実業家のトーマス・フォーチュン・ライアンが購入。メトロポリタン美術館で何年か展示された後、1933年にエセル・ジェラルディン・ロックフェラー・ダッジが競売を通じ購入した。 彫像は1942年、ハートリー・ダッジ・メモリアルに設置されたという。

財団によれば、彫像は少なくとも400万ドルの価値があるとみられているが、売りに出す予定はないという。

2017.10.23 Mon posted at 11:31 JST

ニュージャージー州マディソンの市役所にあるナポレオンの胸像。ロダンの作品であることが判明した=Mallory Mortillaro
https://www.cnn.co.jp/storage/2017/10/22/0821213ba6877131858cc4a807d402dc/t/320/180/d/napoleon-bust.jpg
彫像の基部にロダンの署名が彫り込まれている=Mallory Mortillaro
https://www.cnn.co.jp/storage/2017/10/22/5168d1b3053ec757fa32b136ce52a5ff/t/320/180/d/rodin-signature-adjusted.jpg