画像の無断使用を自動で発見し、権利侵害先への請求まで代行してくれるドイツ生まれのサービス「COPYTRACK」が話題になっています。もともと写真家向けのサービスでしたが、日本ではイラストレーターや漫画家による利用例も増えているようです。

画像はCOPYTRACK公式サイト
http://image.itmedia.co.jp/nl/articles/1710/23/f171024_copytrack_1.jpg

 著者もさっそく登録してみましたが、画像のアップロードからWeb上で画像が使われているサイトを特定するまでの時間はわずか数十秒。試しに以前ねとらぼの記事用に撮影した写真をアップロードしてみたところ、Twitter上で3件、ねとらぼ上で2件、ねとらぼからの配信先サイトで2件使われているのが確認できました。

画像を登録するとすぐに検索結果が表示される。上記画像は以前ねとらぼの記事用に撮影した写真を検索してみた画面。ねとらぼ内で画像が複数枚使われており、仮に無断使用だった場合、合計300ユーロの請求見込みであると表示されている
http://image.itmedia.co.jp/nl/articles/1710/23/f171024_copytrack_2.jpg

 ヒットした検索結果から無断使用ではないものを除外し、請求したい相手のみをCOPYTRACK側に伝えるという仕組み。筆者の場合、見積もりとして1件につき150ユーロ(約2万円)の請求額が表示されました。この金額はアルゴリズムによって自動算出されるもので、ページの種類や掲載期間によって上下します。

 同サービスは2015年にドイツでサービススタートし、2016年に日本進出。140カ国での侵害に対応しています。登録料や手数料は無料で、ユーザーが負担する費用は請求が通った際に発生する成功報酬(30%〜50%)のみというのが特徴。同社広報に日本での利用状況について話を聞きました。


キュレーションサイトへの請求が多い 日本独自の利用傾向

――画像を登録すると瞬時に権利侵害者の名前、住所、電話番号まで出てくると話題になっています。これはどういった仕組みなのでしょうか。

COPYTRACK:独自のアルゴリズムで世界中の一致する画像を見つけ出し、投稿先のサイトに紐づけられた情報を取りまとめる仕組みとなっています。社内に精査するチームがおり、通達前に情報の正確性もチェックします。また、検索でヒットするものの中には正規利用されている画像もあるので、そうしたものは除外し、無断使用と判断できたものに対して請求していくことになります。追及するのは不正使用されているページが商用と判断できる場合のみですので、プライベートユーザーによる使用の場合(ブログやFacebookのプロフィール写真など)は弊社のポリシー上取り扱いしておりません。

――商用で不正使用している相手が素直に応じなければ、最悪裁判までもつれるわけですよね。

COPYTRACK:実は裁判までいくケースはそれほど多くありません。昨今では著作権への意識が高まってきていますので、特に相手が企業の場合は納得して支払っていただける場合が多いです。請求の流れとしては、まず前向きな「事後ライセンス」の提案をすることになります。利用料を支払えば、継続して画像を使用していただける、というものです。こちらに対応いただけなかった場合に、別途パートナーの弁護士から連絡を行い、最悪の場合法的手続きを取ることになります。

侵害相手への対応は基本的に「事後ライセンスの提案」→「法的権利行使」の順(画像は公式サイトより)
http://image.itmedia.co.jp/nl/articles/1710/23/f171024_copytrack_3.jpg
http://image.itmedia.co.jp/nl/articles/1710/23/f171024_copytrack_4.jpg

――相手に事後ライセンスを与えたくない、どうしても削除してほしい、という場合はどうなるのでしょうか。

COPYTRACK:基本的には事後ライセンスを拒否された場合にのみ、損害賠償請求を行う流れになります。ただし誹謗中傷に画像が利用されている場合など、どう考えても消したほうがいいという場合には、事後ライセンスをスキップして法的措置を取ることもあります。また、これまで日本では削除要請をいただくことが多かったので、来年以降に向けて、削除要請機能の搭載も検討しています。

>>2 以降に続く

配信2017年10月24日 10時30分
ねとらぼ
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1710/23/news132.html