シリア北西部イドリブ県で4月に猛毒サリンが使われた疑惑を巡り、国連と化学兵器禁止機関(OPCW)の調査機関は26日、調査結果をまとめた報告書を国連安全保障理事会に提出した。米国連代表部によると、報告書はアサド政権にサリン使用の責任があると結論づけたという。同政権を支えてきたロシアの反発は必至だ。

 報告書は、アサド政権が4月4日に民間人にサリンを使ったほか、過激派組織「イスラム国」(IS)が昨年9月にシリアでマスタードガスを使った攻撃に関与した、と認定。アサド政権による化学兵器の使用が認定された四つ目の事例になるという。

 米国のヘイリー国連大使は声明で「以前から知っていたことが真実と確認できた」とした上で、「いくつかの国々がまだアサド政権を擁護しようとしている。擁護をやめねばならない」とロシアなどを念頭に訴えた。安保理には「化学兵器の使用は誰であれ許容されないという、明確な姿勢を示さなければならない。そうしない国々は、化学兵器を使う独裁者やテロリストと同じだ」と呼びかけた。

 報告書を作成した調査チームの任期は11月中旬に切れる。安保理では24日、常任理事国ロシアが任期延長の決議案採決で拒否権を使ったばかり。報告書の内容が今後の協議にどう影響するのか注目されている

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