日銀の異次元金融緩和により円安・株高が進行しても、富裕層がより豊かになることで貧困層にまで
富が波及するという「トリクルダウン」は起こらなかった。
反面そのコストは、株高の恩恵を受けなかった国民も含めて全員が負担することになる。
後戻りできない恐ろしさ
日銀の国庫納付金の減額は「異次元の金融緩和のコスト」として国民が広く負担しているという事実を
明らかにしたうえで、円安・株高によって得られる恩恵が、数千億円規模の財政負担増というコストに
見合ったものなのかという議論を進めるべきである。

恐ろしいことは、異次元の金融緩和に伴う数千億円規模のコストは、得られる利益に比較して高過ぎる
無駄なものだったとしても、今さら削減できないものだということ。



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<関連>

日銀による財政ファイナンス(十字路)
2017/10/20 11:30

 安倍晋三首相は消費税の使い道を変えて教育費の無償化を図るというが、
その税収は元は財政赤字の削減に充てるべきものだった。

 2020年度に国と地方を合わせたプライマリーバランスを黒字化する目標は、
ギブアップ寸前だったが、これであっさり先送りされそうだ。

財政の悪化が続く中で長期金利の低位安定を維持するには、
日銀は国債購入をむしろ増やしていかざるを得ないからだ。

 日銀が始めた国債の大量購入政策にはデフレ脱却効果はなかった。

それでも引き返さず、縦穴をさらに掘り進むうちに、意図に反して財政赤字を埋める
「財政ファイナンス」に変性してしまっている。

出口とは実は入り口のことだが、もはや元には戻れまい。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22462300Z11C17A0SHH000/