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10月31日 18時33分

特定危険指定暴力団、工藤会の上納金をめぐる脱税事件の初公判が福岡地方裁判所で開かれ、工藤会トップの野村悟被告は「起訴状にある収入や所得は自分のものではない」と述べ、無罪を主張しました。

北九州市に本部を置く工藤会トップの野村悟被告(70)は平成26年までの5年間に集めた上納金のうち8億円余りについて、実際には個人の所得だったのに申告せず、所得税およそ3億2000万円を脱税した罪に問われています。

野村被告はこのほか、漁協の元組合長だった男性が拳銃で射殺された事件など4つの事件でも起訴されていて、今回、脱税事件から先に審理が進められることになりました。

31日、福岡地方裁判所で開かれた初公判で野村被告は「起訴状で私の収入や所得と言われているものは私のものではありません」と述べ、無罪を主張しました。

また、一緒に起訴された幹部の山中政吉被告(66)も「野村さんのものではなく工藤会のものです」と無罪を主張しました。

一方、検察は「工藤会では遅くとも平成17年から、上納金から野村被告の取り分を分けて山中被告名義などの口座に入金していた」などと主張しました。

工藤会をめぐっては、警察などが3年前から集中的な取締りを続けていて、殺人など10の事件で幹部ら23人が起訴されています。

「上納金」=個人の所得か 裁判の争点は

事件は、暴力団の資金源である「上納金」をトップ個人の所得と捉えた、これまでに例のない捜査手法として注目を集めました。

工藤会の「上納金」は傘下組織が飲食店や企業などから集めた「みかじめ料」などを吸い上げ、組織の運営費として使われていたとされています。

しかし警察などは、この「上納金」の中に野村被告の個人的な支出に充てられていたものがあり、個人の所得に当たると判断し摘発しました。

これに対し被告側は、上納金は工藤会のもので組織運営に使われているとして無罪を主張しています。