安倍晋三首相と並んで夕食会場を出るイバンカ米大統領補佐官=3日午後、東京都千代田区
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「国際女性会議WAW!」で講演するイバンカ・トランプ大統領補佐官=3日午前、東京都港区
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夕食会場に到着し、安倍首相(手前左)の出迎えを受けるトランプ米大統領の長女のイバンカ大統領補佐官=3日夜、東京都千代田区
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トランプ米大統領に先立って来日している長女、イバンカ大統領補佐官は3日、東京都内で開催中の国際女性会議で講演し、安倍晋三首相から夕食に招待された。何かと物議を醸すトランプ氏を補完する役割を担うイバンカ氏。日本側は厚遇で信頼の取り付けを狙い、イバンカ氏側もトランプ氏来日前の地ならしを図る。(長嶋雅子)

 「女性が仕事も家庭も両立できる政策推進のため、政府の仕事についた」

 イバンカ氏は、講演でこう力説した。また、女性が働きやすい社会のあるべき姿を提言。日本女性の就労率にも触れ、「安倍首相のすばらしい対策でさらに伸びていくと確信している」と持ち上げた。

 「子供たちとのドタバタだけど、すてきな週末が終わると、1週間の仕事を終えたばかりの金曜日の夜よりも、ぐったりする」という3児の母親らしいエピソードも披露。会場は共感する笑いに包まれた。この後、ハガティ駐日米大使主催の昼食会で河野太郎外相と会談したほか、野田聖子総務相や加藤勝信厚生労働相とも意見交換した。

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 イバンカ氏は、ファッションモデルで活躍、後にファッションブランドを立ち上げ、実業家として名をはせた。5人の子供がいるトランプ氏にとって「最もお気に入りの子供」といわれている。

政権では、大統領上級顧問を務める夫のジャレッド・クシュナー氏とともに父を支える。外交でも表舞台に立つことについて「政治の私物化」などと批判を浴びることもある。

 だが、トランプ氏のシリア攻撃決断の背中を押したとされたり、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」で離脱を表明した同氏に反論したりする姿勢は「大統領への影響という点では他者の追随を許さない存在」(日本政府関係者)とされる。

 加えて、若く、女性であることを最大限に生かし、米共和党の「古くて堅い」イメージ払拭に一役買っているとされる。トランプ氏の女性を蔑視するような発言もかばい、父に欠ける部分を補う存在でもある。米フォーブス誌からは「世界で最も影響力のある女性100人」の19位に選ばれた。

 米保守系政策研究機関「ヘリテージ財団」で上席研究員を務めた東洋大の横江公美教授は「事業と政治の両面でトランプ氏を支える姿には、昭和時代の長女的な雰囲気があり、日本人も親近感を持ちやすいのでは」と見る。

 実際、日本でイバンカブランドの洋服を扱う通販サイトでは売り上げも好調だ。トランプ氏来日を直前に控え、日本での好感度を高めておくことは、首脳関係を強固なものにする。

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 イバンカ夫妻は、ビジネスの面などから「中国に近い」といわれてきた。

在米中国大使館の春節式典に出席し、中国語を習わせている娘が中国語の歌を披露した。中国政府も夫妻の訪中を打診するなど秋波を送り続けてきた。

 イバンカ氏は、今回が初の来日だった。一方、離日後に予定されていた中国や韓国への訪問を直前になって取りやめた。米側は「税制改革準備のため帰国を早めた」と説明している。

 安倍首相は東京・大手町の日本旅館でイバンカ氏を歓待した。メニューは同氏の好みに合わせ、日本の食材を使ったフランス料理だった。会食を終えたイバンカ氏は、首相に英語で「ありがとう。お会いできて良かったです」と語り、握手。首相は「楽しかった」と報道陣に感想を述べた。

 日本政府関係者は「東京を見て回ったら、必ず日本を好きになる」と自信をのぞかせていたが、イバンカ氏を日本の側へたぐり寄せることはできたか。

配信2017.11.3 22:32更新
産経ニュース
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