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2017年11月7日 / 04:47 / 9時間前更新

Lisa Jucca

[ミラノ 6日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 租税回避地におけるオフショア取引は「収穫逓減の法則」に屈しつつある。「パラダイス文書」と呼ばれる新たに流出した文書は、英領バミューダ諸島など不透明なタックスヘイブン(租税回避地)が根強い人気を得ていることを露呈した。

テクノロジーの進歩によってリークの可能性が高まるなか、このような隠れた取引をあぶりだす規制が強化されている。

昨年公表された「パナマ文書」は政治家たちを辞任に追い込んだ。そして今回の「パラダイス文書」では、国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が1340万点に及ぶ資産報告書や電子メール、借款協定などの文書を調査した結果、政治家や投資家や企業が、取引を秘密裏に行うため租税回避地を利用している実態が明らかとなった。

ICIJによると、ロス米商務長官の投資先である海運会社ナビゲーター・ホールディングスが、ロシアのプーチン大統領の側近らと結び付きが深い石油化学大手シブールと取引していることが明らかとなった。英国のエリザベス女王もオフショア企業を使って投資していた。

事業利益を隠したい正当な理由が、特に不安定な国に住む人々にはあるかもしれない。だが、税金や法執行機関から逃れることは、事態をより複雑にし、結果的にはより高い代償を支払うことになる。

いくつかのオフショア金融センターを含む100以上の税管轄地は、各国政府と自動的に税に関する情報交換ができるよう取り組んでいる。約50カ所が9月にデータ共有を開始し、個人や企業が金融取引を隠すことを困難にしている。

また英国やスウェーデンなどの国々では、自国で営業する外国企業や法人に対し、オフショア企業や信託会社を経由する複雑な仕組みを排除して、最終的なオーナーを開示するよう義務付ける法案を可決した。米国など他の国も、受益所有権に関する規則を導入・強化している。

世界的な裏金の流れを規則で阻止することは難しい。抜け穴は必ずあるものだ。それに世界各地には「ダークスポット」が十分にある。だが、大量のデータをダウンロード、配信、そしてまとめることを容易にするテクノロジーは、一方でリークもされやすい。

まっとうな投資家や企業にとって、秘密主義は最終的に高すぎる代償となるかもしれない。