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11月8日 5時43分

WHO=世界保健機関は、抗生物質がほとんど効かない「多剤耐性菌」の感染拡大を防ぐためには、畜産の現場でも抗生物質の使用を必要最小限に抑えるべきだとする指針をまとめ、指針をまとめた責任者は、世界規模で対策に取り組む必要があると強調しています。

「多剤耐性菌」は、ヒトの病気の治療に使われる抗生物質がほとんど効かなくなった細菌で、世界各国の医療機関で、免疫力の低い入院患者が感染して死亡するケースが相次いで報告されていることから大きな問題となっています。

ただ、畜産の現場で抗生物質が、家畜の病気の予防や治療、さらに成長促進のため、幅広く使われていて、使い方次第では、さらなる多剤耐性菌の発生につながると指摘されています。

このため、WHOは、畜産の現場での抗生物質の使用を必要最小限に抑えるべきだとする新たな指針をまとめ、7日、スイスのジュネーブで発表しました。

指針では、ヒトの治療にも使われる重要な抗生物質については、家畜の成長促進や病気の予防のための使用をやめるべきだとしたほか、家畜が病気の場合でも、カルバペネムなど、ヒトに使われる抗生物質の中でも、極めて重要なものは、原則、使用を禁じるべきだとしています。

指針をまとめた責任者のWHOの宮城島一明食品安全部長は「多剤耐性菌を抑えるためには、抗生物質の適正な使用が不可欠で、保健医療と畜産農業の現場が連携して世界規模で対策に取り組む必要がある」と話しています。