来年秋、福井県で開かれる国体の名称が「明治150年記念 第73回国民体育大会」に決まった。反対意見も出ていたという。なぜ明治の冠がついたのか。

 「明治150年の冠称をつけられないか」。スポーツ庁が福井県にこんな打診をしてきたのは7月上旬のことだった。

 発端は政府が昨年10月、2018年に明治維新から150年を迎えるのに合わせて記念事業を実施すると発表したことだ。菅義偉官房長官は記者会見で「明治150年は我が国にとって一つの大きな節目。明治の精神に学ぶ、日本の強みを再認識することはきわめて重要だ」と発言。18年に国が行う行事に「明治150年記念」の冠をつける方針が打ち出された。

 これを受け、スポーツ庁が福井県に検討を依頼した。県によると、福井では50年前の1968年にも国体が開かれ、「明治百年記念」と冠した「実績」があったことから、今回も前向きに考えてほしいとの要請だったという。同庁の今里譲次長は「スポーツ庁で当てはまるのは国体。ただ、最終的な結論は県に任せた」と話す。

 計画が明るみに出ると、「明治」に反応した市民から疑問の声が上がった。県労連や県高教組など7団体は「明治は当初から対外膨張的な志向を強く持った時代であり、それがアジア太平洋戦争の惨禍に結びついた」などとして、県に反対を申し入れた。8月23日に開かれた県の実行委員会でも、「明治は戦争を思い起こさせる」「スポーツと明治は関係がない」などの反対意見が出た。

 だが、賛成意見もあった。「記念と銘打つことで県民の意識が醸成される」「後々まで記憶に残りやすい」。結局、拍手や「異議なし」などの声が出て賛成多数で承認された。県大会推進課の担当者は「(反対派が指摘するような)歴史的な意図はない」と話す。

 文部科学省や開催地の都道府県…

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