新卒から定年まで生涯1社で働く終身雇用の考え方が大きく変わろうとしている。政府は年度内にも、副業・兼業の事実上の解禁に踏み切る。国がつくるモデル就業規則の副業禁止規定を改定すると同時に、長時間労働を招かないよう労働時間や健康管理の指針を盛り込んだガイドラインの策定にすでに着手。来春、公開する見込みだ。

今年2017年はソフトバンクやディー・エヌ・エー(DeNA)といった大手企業も副業解禁を発表するなど、これまでになく複業キャリアに注目が集まっている。一方で8割以上の企業が社員に副業を認めていないのが現状だ。ここにきて政府が副業・兼業容認へ舵を切ることで、多くの企業や働き手に影響が予想される。2018年は事実上、日本の複業キャリア時代の幕開けとなりそうだ。
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■モデル就業規則改定で容認へ

政府が副業容認に転じる背景には、急速に進む少子高齢化による労働力不足への危機感がある。人口減少時代を迎え、企業サイドでは優秀な人材の獲得・流出防止や人手不足対策につなげたい考えだ。

一方、個人にとっても、人生100年時代を見据えた複線的な働き方や選択肢の多様化が、期待できる。

しかし現状、8割以上の企業が副業を禁止する根拠の一つには、厚生労働省が策定する「モデル就業規則」の存在がある。ここでは原則的に、副業禁止が明示されているのだ。

(遵守事項)第11条6許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。
(懲戒の事由)第62条7第11条、第13条、第14条に違反したとき。
※ 厚生労働省モデル就業規則より抜粋

厚労省の検討会では、この副業禁止の記述を見直し「原則的に副業・兼業を容認」の内容へ改定する方向。モデル就業規則に強制力はないが、これを参考に自社の就業規則を策定している企業も少なくない。国による改定は、多くの企業に自社の「副業禁止規定」の再検討を迫ることなりそうだ。
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■不安解消にガイドライン

事実上の副業解禁に伴い、大きな懸念材料の一つとされているのが「長時間労働になるのではないか」という点。正社員ならば1社専業が基本の会社が大半であることから、雇用保険や社会保険についても混乱が予想される。

こうした疑問点や懸念材料について、厚労省は有識者を交えた検討会で整理し、ガイドラインに盛り込む。本業への悪影響や会社の信用・評価に支障が生じる場合は除く、などのルールも明記する見込みという。厚労省の担当者は「副業を禁止していたわけではないが、政府として容認姿勢を明確にすることで、副業・兼業を促していく」と話す。

副業解禁の足音が近づく中、多くの企業が容認へニの足を踏むのはどうしてか。

2016年度「働き方改革に関する企業実態調査」(経済産業省委託事業による日本経済新聞の調べ)によると、副業・兼業を認めていない企業は全体の85.3%、「推進していないが容認」が14.7%。そこでは副業容認への課題として、「本業がおろそかになる」「情報漏えいのリスク」「競業、利益相反」を上げる企業が多い。

副業をしている社員の労務管理はだれがやるのか。長時間労働になって本業に注ぐ気力・体力はそがれないか。ただでさえ人手不足が叫ばれる中、副業解禁の前に懸念は山積しているようだ。

■複業OK各社の真意とは

一方、副業解禁に踏み切る企業には、先を見据えた意図がありそうだ。10月に「副業の許可」を発表したソフトバンクは「副業や他社交流の場で得た知見やノウハウを、従来のものと組み合わせることで、イノベーションの創出につなげることが目的」と説明。

2012年から「複業」を認め、推進派の筆頭として知られるサイボウズは、複業環境を前提に中途採用者が増えるなど採用力が高まったという。 青野慶久社長はこれまでの取材で、「自由な働き方を志向する人にはサイボウズは魅力的な職場となり、ブランド力がつく。社員の成長力も高まり、自分で“稼ぐ”感覚が出てくるので、将来、経営人材が巣立つだろうと感じる」と、話している。

大手老舗による副業解禁が話題となったロート製薬は、会社の「許可」は不要であくまで「申告制」。

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配信11/13(月) 16:06
BUSINESS INSIDER JAPAN
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