イギリスの研究グループは、高血圧治療薬を
投与した実薬グループ8700人、偽薬(効き目
のない偽の薬)を投与したグループ8654人を
対象に、5年の期間をかけた大規模調査の結果
を発表した(1985年)。


 注目されたのは死亡者の数だ。総死亡率は
実薬グループ、偽薬グループで違いが見られ
なかった。つまり、「薬で血圧を下げても長
生きしない」という結論である。


 高血圧症によって引き起こされる代表的な
病気は脳卒中と心臓病。同研究では、総死亡
のうち脳卒中と心筋梗塞による死亡者数もカ
ウントされているが、脳卒中についても死亡
率に差がなかった。しかし心筋梗塞による死
亡数では、実薬グループで106人、偽薬グル
ープ97人と、薬を飲んだグループのほうが逆
に増えてしまったのである。