かつて「日本のレーニン」と呼ばれた男は、東京都清瀬市の市営駐車場で汗を流していた。

昭和40年代半ば、「世界同時革命」を掲げて武装闘争路線を指揮し、破防法違反罪などで
19年9カ月の獄中生活を送った元赤軍派議長、塩見孝也さん(67)。
昨年末から市のシルバー人材センターに登録し、月9日ほど派遣先の駐車場で働いている。

「この年になって、ようやく労働の意義を実感している。
39歳のひとり息子も『親父がまともな仕事をするのは初めてだ』と喜んでいます」

それまでの生計は「カンパや講演料に頼ってきた」というが、あえて働き始めたのは昨秋、
心臓を患ったのがきっかけだった。
「もっと自活能力を付けたい。地に足のついた生活をしながら革命を追求したい」と思ったという。

「要するに、僕のこれまでの生涯は、民衆に奉仕するというより、民衆に寄生してきたのです。
奉仕されるばかりで、自前の職業的労働すらしてこなかった。これは情けないことで、よく生きて
こられたなとも思う。だからこそ、自己労働を幾ばくかでもやり、本物の革命家になりたいと思うわけです」