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11月17日 17時49分

環境規制の強化などを背景に世界的に電気自動車の導入が進む中、中国の広州で大規模なモーターショーが始まり、各国のメーカーが電気自動車の新しいモデルを相次いで投入するなど、次世代の自動車をめぐる競争が激しくなっています。

中国南部の広東省広州で17日から始まった「広州モーターショー」には、中国や欧米、それに日本などのメーカーが1000台余りの車を出展しました。

世界最大の自動車市場の中国では、大気汚染対策として電気自動車の普及に力を入れていて、さまざまなタイプの電気自動車が展示されています。

このうち地元、広東省の「広汽自動車」はIT企業と提携して、車の中のパネルでメッセージをやり取りしたり、自動運転の間に映画を見たりできる電気自動車のコンセプトカーを公開しました。

また、「長城自動車」は中国で人気のあるSUV=多目的スポーツ車の電気自動車を公開し、1回の充電で最長530キロを走ることができるとアピールしました。

中国では再来年から新たな環境規制が導入され、電気自動車市場の拡大が見込まれる中、次世代の自動車をめぐる競争が激しくなっています。広汽グループの馮興亜総経理は「自動車業界は変革の局面にある。電気自動車の開発やネットとの連携を進めて期待される商品を作り出していきたい」と話していました。

中国のEVシフト 現状と狙い

中国政府は深刻な大気汚染対策の一環として、EV=電気自動車の導入を積極的に進めています。

電気自動車を買う人に1台当たり日本円で100万円程度の補助金を支給するほか、都市部では、ナンバープレートの取得をほかの車より簡単にするなど優遇措置を講じています。このため中国の去年1年間の電気自動車の販売台数は40万台と世界で最も多くなっています。

再来年からは自動車メーカーに対して一定割合を電気自動車やプラグインハイブリッド車などにすることを義務づける新たな規制も導入される予定です。中国政府の高官は、ことし9月、ガソリン車やディーゼル車の生産や販売を禁止するための計画をまとめる方針を明らかにしていて、今後、EVシフトはさらに進むと見られます。

電気自動車は、これまでの自動車に比べて部品の点数が少なく構造がシンプルなため、日本や欧米のメーカーと中国のメーカーとの技術格差は比較的小さいとされています。このため中国政府には、EVシフトを強力に進め、国内メーカーの技術力を高めることで、日本やドイツなどを追い越し、「自動車強国」となることを目指す狙いがあるものと見られます。