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 神奈川県の東名高速道路で6月、車間距離を意図的に詰めるなどの危険な運転行為「あおり運転」をされた末に夫婦が死亡する事故が起き、その危険性がクローズアップされている。

 日本自動車連盟(JAF)の調査では、山形県内のドライバーの48%が「あおられることが(よく・時々)ある」と回答。県警によると、高速道路での通報は今年15件(10月末時点)に上る。重大事故につながる恐れのあるあおり運転への「自衛策」としてドライブレコーダーを買い求める人も急増している。

 あおり運転は▽車間距離を極端に詰める▽猛スピードで追い回す▽ハイビームやパッシング、クラクションで威嚇する▽並走して幅寄せする――などといった行為が該当する。

 JAFが昨年6月に全国約6万4000人を対象に行ったアンケートによると、「後方から他のドライバーにあおられることはあるか」との問いに、県内のドライバーの48・3%が「よくある」「時々ある」と回答した。

 全国の54・5%に比べると低いが、約半数の人が「あおり運転」の被害を経験していることになる。

 県警高速隊は「危険な運転行為をされたり、目撃したりした際には、安全な場所に移動して110番をしてほしい」としたうえで、「あおられた際にはブレーキを踏むなど、相手に挑発ととられるような行動を取らないように」と注意を促している。また、停車している場所まで追いかけられた場合は、「ドアロックをして相手から危害を加えられないようにしてほしい」と呼び掛けている。

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車間距離を極端に詰める行為は道路交通法違反に当たる。高速道路では特に危険なため、2009年10月の同法改正で、従来の「5万円以下の罰金」から「3月以下の懲役または5万円以下の罰金」と罰則が強化された。

 警察庁によると、高速道路での車間距離不保持容疑の摘発件数は昨年、全国で6690件。一方、県内の高速道路では0件だった。

 県警高速隊は摘発がゼロだった要因として、県内の高速道路の大部分が1車線になっている点を挙げる。同隊は「通報を受けて現場へ駆けつけ、該当車を発見しても1車線のため並走できず、(容疑を裏付けるための)客観的な車間距離を証明することが難しい」と明かす。

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 そうした中、走行中の映像を記録として残せる「ドライブレコーダー」の需要が高まっている。

 山形市南原町の自動車用品店「イエローハット山形中央店」では、東名高速での事故が報道されて以降、ドライブレコーダーの売り上げが昨年同時期の4倍になったという。

 販売価格は5000〜2万円台が主で、高画質で録画できるものや、車の後ろに取り付けるカメラがセットになっているものが特に人気。売り場では「入荷待ち」や「完売御礼」の札が掲げられている商品もある。

 レコーダーを求める人の中には「あおり運転をされた」と話す人もおり、客層は20〜70歳代と幅広い。同店の担当者は「トラブルになった際に、客観的な証拠を残すことができるドライブレコーダーがあれば、安心して運転に集中できる」と話している。

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