来年4月に就職を控える大学生の就職内定率がかつてない活況をみせているという。

 就職情報大手2社(リクルートキャリア、ディスコ)調べによる10月時点の内定率は92%を超える過去最高の数字で、1人平均2.5社の内定が出ているとの調査もある(リクルートキャリア調べ)。就職活動を終えた都内の大学生たちも「3社もらった」、「2社。8社とか9社、2桁もらった友達もいる」と口を揃える。

 そんな中、企業を戦々恐々とさせているのが、内定辞退だ。今年の内定率の高さを反映するかのように内定辞退率も64.6%(リクルートキャリア調べ)という過去最高の数字となっているのだ。

 学生たちからも、
 「評価を高くしてくれた所に行った方が、やりたいことをやらせてもらえるかなと思ったので決めた。辞退は申し訳ないって気持ちはあるが、僕らにも選択肢があると考えている」
 「福利厚生面とかを自分なりに考えて決めた」
 「内定を3社からもらったが、全部断っている。行きたい企業は見た瞬間に終わっていたので、そこに向けてもう一年頑張りたい」
 「中小企業からも内定をもらったが、大企業に行きたいなという気持ちが大きかったので、そっちを選んだ」
 と、まさに“超売り手市場“であることが伺える意見が。
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■バブル期のよう?就活生の“囲い込み“も

 「(売り手と買い手が入れ替わったのは)大体、2013年か2014年ごろと言われている。その前がリーマンショック後の就職氷河期と言われていた。就職氷河期に就職活動をしていた社会人から、今の大学生は売り手市場で簡単に決まっているのが羨ましいという話をよく聞く」。

 そう話すのは、大学生の就活事情に詳しい、ジャーナリストの石渡嶺司氏。売り手市場の背景には、経済や景気の回復、企業業績の上昇のほか、団塊世代の定年退職による人材不足も背景にあるのだという。

 売り手市場を反映してか、バブル期には盛んに行われていたとされる就活生の“囲い込み“もみられるようで、内定者にiPadをプレゼントしたり、高級レストランや有名テーマパークに招いての懇親会をするなど、企業もあの手この手で辞退者を減らそうとしているという。

 2年前に変更された経団連の指針では、企業は大学4年生になる直前の3月からエントリー受付を開始、6月ごろまで企業説明会を続け、その後に筆記試験や面接を行い、10月に内定式を行うという流れになっている。

 しかし石渡氏によると「あくまでも建前で、結果的には守られていない。また、これは経団連の指針であって、新経済連盟などほかの経済団体ではこのガイドラインには従わないとしている」と話す。


■内定式の“はしご“も

 慶應大学大学院生の杏さん(仮名)は「周囲は内定式が終わって一段落。みんな卒業旅行に行ったりしている」と話す。焦燥感もあって、自身もIT企業など3社から内定をもらった。「私は去年の10月くらいから就職活動を始めた。いわゆる大手は難しいが、選ばなければ、企業からのオファーは来るようになっていた。周りでは3社くらい内々定をもらっている人が多くて、私は中小1社、大手2社で迷った」と振り返る。

 杏さんの場合、「通っていた就活塾で、辞退を決めたらなるべく早く連絡するようにと指導された」というが、連絡をしないまま内定式を欠席することで辞退する学生もいるのだという。石渡氏によると、逆に決め兼ねた学生が内定式を“はしご“しているケースもあるという。「特に今年は10月1日が日曜日だったので、2日、3日に内定式を行った企業もあった。『今日はA社に、明日はB社』などとFacebookに書いている学生もいる」。

 終身雇用が当たり前だった日本社会。今の学生は少し違うようだ。

 「私自身は結構“社畜“になる気でいる。選んでいただいた中で、一番合うと思った企業なので、ずっとそこで働こうと思っている。でも、周りを見ると『合わなかったらやめよう』という風潮はある」(杏さん)

 石渡氏は「業績が悪くなると、終身雇用制度がなくなっていくなどの話もあるが、最近の新入社員は『企業に合わない』という理由で簡単に辞めてしまう。辞めたとしても今は『第二新卒』というカテゴリーで簡単に転職できてしまう」と説明した。

>>2以降に続く

配信11/19(日) 7:30
AbemaTIMES
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