外国人材受け入れ拡大論 建設業界に警戒感/懸念はベテランの技能承継 [ 2017-11-20 1面 ]

元請けと下請けの経営者の間で、経済界から浮上している「外国人材受け入れ拡大」論に対する警戒感が強まっている。

目先の人手不足問題が製造業だけでなく、2020年東京五輪整備を進める建設業界でも発生しているとして、
いつの間にか経済界から建設業界が主張していないにもかかわらず、外国人材受け入れ拡大を求める代表的産業にされかねないことが理由だ。

既に経済界からは16日、日本商工会議所が「今後の外国人の受け入れのあり方に関する意見」を公表。
外国人材受け入れ拡大・制度創設と緩和などを盛り込んだ。

建設業界の代表的外国人材受け入れ枠組みとして、日本で建設技能を学んでもらい、
自国に帰ってその技能を生かすことで国際貢献にもつながる「外国人技能実習制度」がある。

一方で、建設業界が人材確保・育成で視野に置くのは、
高齢化したベテラン職人・職長の技能承継を今後10年以内にどうスムーズに若年入職者に行えるかどうかという点に集中している。

このため、仮に実習制度の枠組みを緩和して日本滞在期間延長などで受け入れ数が拡大しても、
元請け、下請けともに冷ややかな立場にあるとみられる。

実際、「あくまで実習であり一人前の職人ではない。われわれが必要なのは中長期にわたり日本の建設現場を担うことができる人間」

「海外展開している元請けとしては、せっかく日本国内で技能実習しても帰国するとまったく違う仕事を始めるケースも多く、
日本の建設生産システムを新興国で拡大させる効果もあまり期待できない」などの本音が下請けや元請けから相次いでいた。

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