http://www.sankei.com/smp/politics/news/171123/plt1711230005-s1.html

 神奈川県座間市のアパートで9人の切断遺体が見つかった事件で、政府がIT大手のマイクロソフト(MS)社に対し、運営する検索サイトに「死にたい」などと打ち込まれた場合に悩み相談などのリンク先を優先して表示する対応をとるよう要請したことが22日、分かった。政府関係者によると、同社は応じる方向という。すでにグーグルやヤフーなどは同様の対応を取っており、政府は検索サイトの約99%をカバーできるとみている。

事件では、東京都八王子市の田村愛子さん(23)に対する殺人容疑で再逮捕された白石隆浩容疑者(27)が、ツイッターなどのSNS(会員制交流サイト)を使って自殺願望を打ち明ける10〜20代の若者を言葉巧みに呼び出し、犯行に及んでいたことが判明している。

 菅義偉官房長官は今月10日、再発防止策を検討する関係閣僚会議後の記者会見で「自殺に関する不適切なサイトや書き込みへの対策、インターネットを通じて自殺願望を発信する若者の心のケア対策の充実に取り組んでいく」と述べた。

 ただ、政府がSNSへの自殺願望の書き込みなどを一律に規制することは表現の自由の面で問題がある上、悩みを持つ若者らが気持ちをはき出す場所を奪いかねないとの指摘がある。このため、関係閣僚会議が年内にまとめる報告書には、自殺願望を持つ人がネット上で相談しやすい環境作りを求めることを盛り込む方針だ。

 現在、ヤフーやグーグルの検索サイトで「死にたい」や「自殺」と入力すると、画面上部の目立つスペースに、厚生労働省の「こころの健康相談統一ダイヤル」や、悩みの相談に応じてくれるNPO法人の案内などが表示される。マイクロソフトの「Bing(ビング)」や「msn」などのサイトには、こうした仕組みはなかった。