清順さんの思いはこうです。

「これまで富山の山奥で、だれからも見向きもされずに、ひっそりと自生していたあすなろの木だからこそ、みなさんに届けられるメッセージがあると思うんです」

神戸に届けるあすなろの木は、樹齢150年ともいわれています。

なぜこの木だけが、これほど大きくなったかというと、近くで山火事があったときも、この木だけは燃えずに残った、という歴史があるんです。

そういう奇跡の木だからこそ、神戸という復興と再生の都市に運ぶことで、なにかを感じてもらえるような気がしたんです。でも‥‥」

‥‥でも?

「でも、そんな木だからこそ『抜くのはかわいそう』とか『そんなのは人間のエゴだ』とか、そういう意見もあると思うんです」

清順さんの話は、さらに続きます。

清順さんはこう話します。

「『あの木は生かすべきだ』とか『ただの人間のエゴだ』とか、そういう意見が出ることを、ぼくはいいことだと思っています。

ただ、ぼくらは毎日、木のテーブルでごはんを食べ、植物でつくられた服を着て、植物を食べながら生きている、というのも事実です。

ぼくがひとつだけいいたいことがあるとしたら、どっちの意見が正しいとか、間違ってるとかじゃなくて、『そういう話をみんなでしようよ』
ということなんです」

「世の中の人たちが、ぼくらの運ぶ巨木を見て勇気づけられたり、『大丈夫かなぁ』と心配してくれたり、『すごい!』とただ驚く人がいたり、
『人間のエゴだ!』という人もいたりと、人によっていろいろな感じ方があると思います。

ぼくは、それでいいと思っています。

1本の木を見て、いろんな人が、いろんなことを思う。
ぼくの本当のねらいは、それなんです」

そーす
ほぼ日

「世界一のクリスマスツリー」の植樹式。 - ほぼ日刊イトイ新聞
http://www.1101.com/pl/171114christmas/