http://yomiuri.co.jp/science/20171123-OYT1T50077.html
 小笠原諸島に生息する固有種「アカイセエビ」が宮崎県串間市沖で見つかり、捕獲された。

 県内での確認は初めて。生きたまま宮崎市下北方町の大淀川学習館で展示されており、紫色の長い「美脚」が訪れた人の目を引いている。

 串間市の漁師が10月11日、同市市木の鳥島の磯で、網にかかっているのを見つけた。初めて見るエビだったため、知人を通じて大淀川学習館に連絡して提供した。

 同館の学芸員が写真を撮って、小笠原自然文化研究所(東京都小笠原村)に調べてもらったところ、「アカイセエビ」と判明。県水産試験場に問い合わせ、県内では初めての確認だと分かった。

 捕獲されたアカイセエビは体長約25センチで、重さ約300グラム。背中に白い斑点があり、足は鮮やかな紫色で、エサを食べる時や触覚を掃除する時には足を器用に使って、機敏に動く。

 小笠原と串間市は直線距離で約1000キロ離れている。小笠原水産センター(東京都小笠原村)によると、アカイセエビの分布は小笠原が中心。小笠原で生まれた幼生が海流で南下し、成長しながら黒潮に乗って戻ってくるという。

 詳しい研究が行われておらず、小笠原諸島以外での確認例はまれという。同センターは、串間市で捕獲された個体は体長から、生まれて数年が経っていると推定。「黒潮から外れ、宮崎にたどり着いたのではないか」としている。

 大淀川学習館の鮫島旭恵学芸員は「たまたま宮崎に来たのかもしれないが、偶然でもうれしい。ほかのエビとの違いを見てほしい」と話していた。

 アカイセエビは今月11日から特別展示されている。青島で捕獲されたイセエビを入れた水槽を並べており、特徴を見比べることができる。

 特別展示は1月末まで。午前9時〜午後4時半。月曜と12月29日〜来年1月3日は休館。入場無料。問い合わせは同館へ。

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