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 安倍晋三首相が衆院選で公約した年2兆円規模の政策パッケージの概要が固まった。3〜5歳児では認可保育園は全員無料とし、認可外は認可の平均保育料(月約3万5千円)を上限に助成する方向で検討を進める。0〜2歳児と大学など高等教育の無償化は、住民税の非課税世帯に限る。介護人材や保育士の処遇改善にも計千数百億円をあてる方針だ。

 政府は24日、自民、公明両党の提言を受けて詰めの協議に入った。来月8日にも正式決定する。

 幼児教育と保育の無償化には約8千億円を投じる。認可外保育園については一時、無償化の対象から外すことも検討したが、批判を受けて方針を転換。事業所内保育や自治体が補助する認証保育所など、広く対象に含めることにした。

 ただ、認可外は料金を自由に設定できるため、助成額には上限を設定する。当初は、国が定める幼稚園の公定価格の上限(月2万5700円)と同額を検討したが、認可保育園の全国平均の月約3万5千円まで引き上げる方向だ。幼稚園も独自に高い料金にしているところがあるため、公定価格を上限に助成し、それを上回る分は自己負担してもらう。

 認可外の助成の詳細のほか、「預かり保育」や「延長保育」の支援などは結論を先送りし、年明けに有識者会議を設けて検討する。

 大学や専修学校など高等教育の無償化にも約8千億円をあてる。住民税の非課税世帯を対象に授業料を免除するほか、返還の必要がない給付型奨学金を大幅に拡充し、生活費も支援する。非課税世帯に近い低所得世帯向けにも給付型奨学金を拡充する。私立大学については授業料の減免に一定の上限額を設ける。

 介護・保育の人材確保へ賃上げも実施する。介護人材には約1千億円を計上。経験や技能に応じて賃金が上がる仕組みとし、10年以上の経験者に最大月8万円の賃上げをする案が有力だ。保育士には300億〜400億円程度をあてる。待機児童対策にも約3千億円を使い、2020年度末までに32万人分の保育の受け皿づくりを進める。

 約2兆円の財源は、19年10月の消費増税で入る税収のうち、借金の返済にあてるはずだった1・7兆円を使い、残る3千億円は企業の拠出金の増額で賄う。

 開始時期は5歳児の無償化を19年4月に先行させ、大学の無償化などは20年度からとする見通しだ。

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