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[パナマ市/トロント 17日 ロイター] - 2007年春、パナマ市にある空港に、多くのロシア人を含む外国人が次々と到着し、迎えにきていたドナルド・トランプ氏のロゴが入った白いキャデラックにさっそうと乗り込んだ。

 このリムジンは、元自動車セールスマンのアレキサンドラ・ベンチュラ・ノゲイラという名のブラジル人が経営する会社のもので、当時トランプ氏の最新プロジェクトだったパナマの70階建て複合施設開発に投資する外国人を勧誘していた。

 米大統領就任前は実業家だったトランプ氏にとって初となる国際的ホテルベンチャー「トランプ・オーシャン・クラブ・インターナショナル・ホテル・アンド・タワー」には、居住用マンションやホテル、そしてウオーターフロントに建てられた帆船形の建物内にはカジノも併設されていた。

「ノゲイラ氏は外交的で明るい若者だった」。2002年にミス・ユニバースの栄冠に輝き、2007年に彼の会社「ホームズ・リアル・エステート・インベストメント・アンド・サービス」の広報を務めていたジャスティン・パセク氏はそう当時を振り返る。

「皆がホームズに感銘を受けていた。当時は不動産ブームの頂点に乗っているように見えた」

 ノゲイラが自らを印象付けようとした中の1人が、トランプ氏の長女イバンカ氏だった。彼は、当時父親の不動産会社トランプ・オーガニゼーションでパナマ開発事業を担当していたイバンカ氏と「何度も」会って話した、とロイターとのインタビューで語った。

「彼女は私のことを覚えているだろう」と彼は言う。

 ノゲイラによれば、彼の営業手腕にほれ込んだイバンカ氏が、彼を同プロジェクトの主任ブローカーにするよう手助けして、2人はプロジェクトを売り込むビデオにも一緒に出演したという。

 ロイターは、米NBCニュースと協力してトランプ・オーシャン・クラブの資金調査を行った。その結果、同プロジェクトの事前販売の3分の1から半分は、ノゲイラが担当したことが分かった。

 また彼がこのプロジェクトにおいて取り引きした相手の中に、のちにマネーロンダリング(資金洗浄)で有罪となり、現在は米国で収容されているコロンビア人や、誘拐と殺人脅迫の罪で1990年代にイスラエルで服役していたロシア人投資家が含まれることも判明した。

 トランプ・オーシャン・クラブ開発に携わってから3年後、ノゲイラは同開発とは関係のない詐欺と偽造の容疑でパナマ当局に逮捕された。140万ドル(約1億5600万円)の保釈金を支払い、その後パナマから逃亡している。

 あとには、ノゲイラ被告にだまされたと主張する数多くの人々が残された。その中には、トランプ・オーシャン・クラブ開発におけるマンション投資も含まれており、少なくともそれは4件の刑事事件に発展しており、8年たってもまだ解決に至っていない。

 現在43歳のノゲイラ被告はこれらの容疑を否定。「私は天使ではないが、悪魔でもない」とメールでロイターに語った。

 イバンカ氏は、ノゲイラ被告との関係についてコメントを控えた。ホワイトハウス報道官は、ロイターからの質問をトランプ・オーガニゼーションに送った。同社のアラン・ガーテン最高法務責任者(CLO)は、「トランプ一家含め、トランプ・オーガニゼーションの誰一人として、この個人と会ったり話したりした記憶は一切ない」と回答した。

 今回のプロジェクトの債券目論見書によると、トランプ氏は同プロジェクトに名前を冠することで最大7500万ドル(約84億円)を手にした。ただ、この建物の運営に関与しておらず、他の関係者に対してデュー・デリジェンス(資産査定)を行う直接的な法的義務はない。

 とはいえ、そこでの収入源を確認するためにトランプ氏が取った措置について疑問が投げかけられていると一部の法律専門家は指摘する。

 パナマは「汚職率が非常に高いと見られている」ため、当地でビジネスに従事する人は誰もが、自身の事業に関わる人々についてデュー・デリジェンスを実施すべきだと、かつてマンハッタンの地方検事補やJPモルガンのグローバル反汚職プログラムの責任者を務めたアーサー・ミドルミス氏は主張する。

 そうしないのであれば、不正に目をつぶったとして米国の法律に違反するリスクを負う可能性がある、と同氏は言う。

続きはソース
http://diamond.jp/articles/-/151325