http://yomiuri.co.jp/science/20171202-OYT1T50054.html
 鹿児島県の沖永良部島沖の海底で、鉛や金、銀などの鉱物を含む「海底熱水鉱床」が新たに見つかった。

 独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の調査で判明。同島にある洞窟「銀水洞」にちなみ、「銀水サイト」と名付けられた。国は今後、詳細な資源量などを確認した上で、商業採掘の可否について検討する方針だ。

 調査は、経済産業省の委託事業の一環。JOGMECによると、昨年11月〜今年2月、遠隔操作の無人探査機などによる調査で、同島沖の水深1000メートルを超える海底に縦300メートル、横100メートルの範囲で熱水が噴き上がる様子が確認された。熱水内の金属成分が沈殿してできる煙突状の構造物「チムニー」も見つかり、長期間にわたる活発な活動がうかがえたという。

 また、一帯で回収した鉱石をカナダの民間会社で分析したところ、鉛や亜鉛、金、銀を豊富に含有していたことが判明。発光ダイオード(LED)の原料にもなるレアメタルの一種、ガリウムも微量ながら検出された。

 将来的な事業化には、全体の資源量や、採掘しやすい状況かどうかの把握が必要となる。JOGMECの担当者は「金や銀が比較的多い鉱床。今後、より詳細な金属の含有率の調査などを行いたい」と話す。

 国内で鉱物の商業規模の操業が行われているのは、年間6〜7トンの金を産出する菱刈鉱山(伊佐市)だけで、大半は海外からの輸入に依存している。海底鉱床は、資源の安定供給につながるとして注目されている。(中村直人)

 ◆海底熱水鉱床=地下深くで、マグマなどにより熱せられて海底から噴き出した熱水に混じる金属成分が海水で急激に冷やされ、沈殿してできる。近年は沖縄県の沖縄本島沖や久米島沖などで見つかっている。

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