東京都千代田区の区立図書館のホームページが11月上旬にサイバー攻撃を受けてから、1か月近く閲覧できない状態となっている。

 区によると、個人情報の流出は確認されていないというが、区内の五つの図書館でインターネット上で蔵書検索や本の予約ができず、利用者からは困惑の声も上がっている。

 区によると、11月7日夜、図書館ホームページの利用者がアダルトサイトに誘導されるなどの事態が発生。システム運営会社が調査したところ、パスワードを手当たり次第に入力する「総当たり攻撃」を受け、プログラムが不正に書き換えられたことが判明した。

 攻撃を受けたのはホームページを管理するシステムで、利用者情報を管理するシステムに被害はなく、個人情報の流出は確認されていないという。区は、ウイルス駆除などのため、11月8日以降、公開を停止した。

 区によると、図書館のホームページのシステムを構築したのは約10年前で、来年3月にシステムを全面更新する予定だった。現時点でウイルス駆除は終わっているが、区は「同様の攻撃を受けた際に防御しきれない可能性がある」として、公開停止を継続し、調査会社に点検を依頼している。従来のページを復旧させるか、復旧せずに新ページに移行させるかは点検結果を待って判断するという。

 千代田区には五つの区立図書館がある。中でも、区役所本庁舎に入る千代田図書館と、日比谷図書文化館は平日午後10時まで開館しており、近隣企業に勤める人など区外の利用者も多い。

 現在、蔵書検索や本の予約は窓口や電話で受け付けているが、日比谷の図書館で毎月約10冊を借りるという埼玉県の会社員女性(44)は「スマートフォンで利用でき、返却日も知らせてもらえるなど便利なサービスも多い。早く元に戻してほしい」と話した。区にも「いつ復旧するのか」といった問い合わせが寄せられているという。

 区文化振興課の担当者は「安全性をしっかり確認したい。利用者には申し訳ない」としている。

2017年12月06日 07時15分
YOMIURI ONLINE
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