>>906
> 一般論としてはソフトのほうが追いつきやすいもんなんだけどな。
いやこれも間違いだ。より正確に言うと、

一般論としてはソフトのほうが追いつきやすい『ように見える』もんなんだけどな。

だね。ソフトの方が実は追いつきにくい。だから日本がアメリカに永遠と追従できないわけで。
国家で言うと、ハードってのは美術館や競技場だ。(純粋ハード)
これらハードは作れば終わる。或いは数人の人間がいれば出来る。だから教育レベルが云々は関係なく、出来る。
もう少し広く捕らえれば、大学や各研究機関もハード寄りだ。
これらは中の人が多いから上記純粋ハードより機能させるのは大変だが、それでも発展途上国でも出来る。

ソフトってのは、シリコンバレー文化や企業精神、
日本で言うならゴミを捨てないとか、外国人旅行者等弱者に対しても公正(同じ値段)で物を売る、とかだ。
前者のアメリカンな物を日本に導入しようとしていても、全く出来ないだろ。
同様に、後者については中韓は日本より民度が30〜50年劣っていると言われてきたし、今もそうだ。

だから開発するときには、醸成に時間のかかる「ソフト」から整備しないと駄目なんだよ。
これをやるための方策が「標準化」であり、ソフトが揃いつつあるときに新規ハードが出てくるという算段だ。
結果的にCUDAもこの手法でうまくやってるだろ。
ハードを作ってからソフト、或いはハードを作ればソフトはついてくる、なんてのは完全に間違いなんだよ。
学校を作るより、学校に行かせることが大事だと親に理解させることの方が難しいわけでね。
箱さえ作れば中身が入る、ってのは完全に間違いだ。
中身を入れてもらうためには、その環境を整備しておかないといけない。

平たく言えば、ソフトの方が関係者数が圧倒的に多いから、そこで文化(共通理解)を醸成するのに時間がかかる。
(スパコンのハードは数年で作れるが、そのソフト環境を数年で整備するのは無理)
そしてアメリカにはストールマンみたいに、この方向で文化の旗振りをやってやるぞ、みたいな奴も出てくるし。
日本にはビルゲイツも足りないけど、ストールマンも足りてないんだよ。

何でこうなっちまってるのかってのは、やっぱりイノベーションのジレンマなのかな?
高度成長期にはやることが分かっているから、ハードを整備すれば勝手に中身は入る物だった。
だから大体どの国も開発独裁自体は成功する。
問題はそこから先で、従来手法では成長を維持することは困難なのだが、
過去の成功体験があるからこそ、そこにすがってしまう。
(ハード先行開発→ソフト先行開発が破壊的イノベーション、という見方)