石破:「十分に戦える」と、「攻めていくことができる」とは全く違います。
わが国は「専守防衛」が国是ですから、よその国が攻めてきたらそれを全力で排除するが、
こちらから攻めていくことは一切しない、という考え方でずっと来ています。だから、よその国を攻めることができるような装備は一切持ってないんです。

北朝鮮の対空ミサイルや戦闘機が飛んでくる中で、空中戦をやろうとすれば、燃料を食うから、空中給油機が相当数必要になります。
でも、日本はほんの数機しか持っていません。大体、北朝鮮のどこにミサイル基地があるのかもわかりません。

林:それは衛星写真でとっくにわかっているんじゃないですか。

石破:北朝鮮の最近のミサイル発射装置は、移動可能です。しかも以前と違い、
液体燃料ではなく固体燃料で打ち上げが可能なので、準備時間がかかりません。

衛星画像ではダミーの張りぼて基地かどうかの判断はできませんが、
それを見分けるための24時間監視の熱探知衛星もわが国は持っていません。
1隻1700億円もするイージス艦も、基本的にはほかの護衛艦と同じです。

ただ、レーダーが非常に優秀で、同時に多方向を見られるので、どこから飛翔体が飛んでこようと対応できるんです。
ただ、それは敵を見つける能力であって、攻撃する能力がすぐれているわけでも何でもないんです。

林:そうなんですか。相当な能力と聞いてましたが、違うんですね。

石破:相手が攻めてきたら、追い払う能力はすごいんです。
しかし、向こうまで攻めていく能力はゼロ。「それでも行け」というなら、それは「神風特攻隊」と何が違うんですか。

林:そうですよね。

石破:もし国会で「敵基地を攻撃する能力を持て」と決めてくれれば、装備が持てるようになります。

林:今だったら国民の理解も得られるんじゃないですか。

石破:私は、日本は敵基地反撃能力を持つべきだと思っていますし、自民党としてもそう提案しています。
たとえば先の衆院選で、自民党が「敵基地反撃能力を保有すべきだ」と言って、国民がそれを支持したなら、そういう決断がなされたでしょう。

林:安倍総理、そこまでの強い意志はなかったような気がしますが?

石破:今回、細かい政策の話をして選挙をしませんでしたからね。選挙のタイミングではできませんでしたが、
これからも自民党としては「敵基地反撃能力を持つことを認めてください」とか、「憲法9条をこう変えたいと思います」とか、具体的に提示していくつもりです。