望月新一さんの数学 玉川安騎男(京大数理研)

普通の研究者(例えば私)であれば, ディオファントス幾何に関する結果をなるべく
早く形にして2006年のフィールズ賞に間に合うようにと考えるでしょうが, 望月さ
んは, 賞に対しては全く無欲(というか, むしろやや否定的)で, 十分時間をかけて基礎
理論を満足のいくような形で完成させることに力を注いでいます. また, (A. Wiles が
フェルマ予想に挑んでいた時などと違い)大予想の証明に向かう途中の理論についても,
全てプレプリントなどで公開しています. それを見て誰かが先に証明してしまうのでは
ないかという周囲の心配もどこ吹く風, 「自分の理論を理解して先に証明してくれるの
であればむしろありがたい」とおっしゃっています.
http://mathsoc.jp/publication/tushin/1001/tamagawa2.pdf