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宮城県の三陸海岸の養殖ホタテが大量死している。

 約7340トンあった昨年度の水揚げに対し、今年度は10月までで約4千トン。県漁協によると、平成25〜28年度の水揚げは7千〜8千トン程度で推移してきた。今年の水揚げはほとんど終わっているが、例年の半分強程度となる見込みで、養殖業者からは悲鳴も聞こえてきた。(東北総局 林修太郎)

 「危機的状況だ」。ある養殖関係者は嘆く。

 「ホタテは生き物だから仕方ないが、続けても赤字は目に見えている。我慢して耐えるか、やめてしまうか…」

 県内のホタテ養殖の多くは、北海道から半成貝(はんせいがい)と呼ばれる成長途中の貝を買い付け、出荷サイズまで育てる方法で行われる。以前は地元で育てた地種を使っていたが、震災を機に水揚げまでの期間が短く、コストも低い現在の手法に変わった。

 県漁協によると、半成貝の値段は、籠1杯(18〜20キロ程度)で8千〜9千円ほど。韓国が東北産海産物の禁輸措置をとっていることから、北海道産のホタテが高騰。これが半成貝の値上げにもつながっているとみられており、「3年ほど前までは6千円ぐらい。震災後緩やかに値段は上がっていたが、ここ1、2年で一気に高くなった印象がある」という。

 この半成貝に問題があるのでは、といぶかしがる向きもあるが、出荷している北海道の漁協関係者は「心配しているが、出荷の段階で異常はない。道内のオホーツク地方にも1年ものの稚貝を出しているが、今のところ特に異常は聞いていない。宮城の海に何か原因があるのではないか」と首をひねる。

 大量死の原因は分かっておらず、県水産業基盤整備課は「原因は調査中。地種から育てたホタテは半成貝から育てたものより状態はいい。ホタテ養殖の9割は北海道からの半成貝に頼っている。不漁が続くなら、地種から育てるように業態を変えていく必要があるかもしれない」と話す。

 県漁協の担当者は「種から育てれば2、3年かかるが、半成貝を育てるやり方なら翌年すぐお金になる。地種で養殖するには設備の費用もかかる。業者にとって簡単なことではない」と説明する。

 「種が良くなかった可能性はある」と指摘するのは、東北大大学院農学研究科の片山知史教授(51)。大量死の原因は、種が良くなかったか、育てる過程に問題があったかの2通りが考えられるとし、「地種の生育が悪くないのであれば前者の可能性が高い」とする。

 その上で、「種から宮城で育てるのが一番よいことは間違いない。それが難しいなら、出荷元に安定した供給を要望していくしかない」と話した。

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