【致死的な方法と非致死的な方法による調査の比較】

致死的な調査方法 → 非致死的な代替調査方法

体長 :
実質的に体長を測定する→ 調査対象を撮影した写真から測定する
体重 :
実質的に体重を測定する→ 体長から計算する
年齢 :
歯、耳栓、ひげ板を収集する→ 体長、性別から推測する
成長 :
体長を測り年齢と照合して推測する→ 同じクジラを数年観測する
成熟性 :
生殖腺を調べる→ 同じクジラを数年観測する
受精 :
生殖腺を調べる →母体へは非致死法ではないが、出産直後に調べる
繁殖時期 :
胎児から推測する→ 繁殖地にて対象を観測する
妊娠 :
胎児の有無を調べる→ バイオプシーによりホルモン分析する
授乳 :
乳腺を検査する→ 母子のペアを観察する
繁殖周期 :
妊娠率などのデータから推測する→ 繁殖地にて対象を観測する
食習慣 :
胃の中身を検査する→ 糞便を採取し検体する
系群 :
死体から標本用組織を採取する→ 生きている鯨から検体する


同一の研究対象個体を繰り返し観察することができる非致死的な調査方法は、全体的に見て致死的な方法よりも多くの利点があります。
致死的な方法は、その性質から調査はどうしてもその場限りとなってしまい、一度クジラの「調査」がなされれば再び調査を行うことが不可能なことから、回遊を始めとする鯨類の生態を調査するには適していません。
実際に世界中の鯨類科学者は、調査対象生物の殺傷を極力避けた継続的な研究を続けています。また南極海は、1994 年に IWC により日本を除く全加盟国一致で、クジラの永久保護区(サンクチュアリ)として定められています。
それにもかかわらずこの水域で鯨類の致死的な調査を選ぶ鯨研の真の理由は科学ではなく、水産庁役人の天下り先である団体の存続のための、鯨肉の市場への供給だと言えます。