>>828
1994.05.28
「IWC総会、南極海域の鯨聖域を可決」(共同通信)
国際捕鯨委員会(IWC)メキシコ総会は二十六日、南緯四○―六○度以南の海域を全鯨類の禁漁区とする新たな南極海サンクチュアリ(聖域)案の採決を行い、
賛成二十三、反対一、棄権六の賛成多数で可決した。
反対票を投じたのは日本だけ。日本と並ぶ捕鯨推進国のノルウェーは会議に出席したが投票に参加しなかった。
日本が提案したミンククジラを対象外とする鯨の聖域案も採決されたが、賛成六、反対二十三、棄権二で否決された。
これで、日本が目指していた南極海の商業捕鯨再開の道は閉ざされることになり、今後、IWC脱退を含め厳しい対応を迫られることになる。
可決された聖域案は、フランスなどが出した南緯四○度以南を全鯨類の全面禁漁区とする案を基本に、
チリ、アルゼンチンなど南米諸国の周辺海域では二百カイリ経済水域を侵さないよう聖域を南緯六○度以南に設定する―などの内容で十年ごとに見直しを行う。
二十五日、フランス、米国、チリなど十九カ国が共同で提案。
IWCは一九八二年に商業捕鯨の全面禁止(モラトリアム)を決定。日本は異議申し立てをしたが、米国の経済制裁措置などを避けるため八五年に申し立てを撤回。
八七年に南極海での商業捕鯨から撤退した。
日本は商業捕鯨中止後、頭数の多いミンククジラを対象に南極海で調査捕鯨を開始。
IWCの科学委員会などにデータを提出して、商業捕鯨再開の条件づくりに努力したが、
今回、唯一の捕鯨対象としてきたミンククジラが禁漁となったことで南極海での捕鯨再開の道は断たれた。
採決結果について日本政府代表の島一雄水産庁次長は「近い将来、人口増や食料不足の問題が深刻化していくのは確実なのに、
このような不条理な決定がなされた。これはIWC総会の信用にかかわる問題だ。異議申し立てなど今後の対応については、帰国後、首相らに相談して決めたい」と話した。