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■上智大学の猪口邦子教授(国際政治学)
捕鯨問題は鯨の保護という科学的な問題から、環境主義を取るかどうかの踏み絵を迫る政治学の問題に変質していた。
国際社会が一種のムラ社会になっている現在、日本が唯一反対で残ったことで「反環境主義の国」「規範から外れた国」とレッテル張りされる結果となった。
国際社会で日本が正論を主張しても、鯨問題の立場によって過小評価されかねず、日本の主張が信用されるためにも、突出することは避けるべきだった。
大勢に従うという、国内問題でお得意のムラ社会の原理に国際社会でも従うべきだった。
■エッセイストの岸本葉子さん
絶滅するから捕鯨をやめるという理由ならば理解できるが「友達だから」「かわいそうだから」という感情論にはくみしない。
日本だけが反対票を投じたことには拍手を送りたい。今後もあくまでも反対であることを国際社会の場で発言していくべきだ。
論理立てて「ノー」と言うことは、他の問題においても態度を明確にする訓練になるのではないか。
■河内音頭で人気の河内屋菊水丸さん
えっ、とうとう鯨が食べられなくなるんですか。非常に残念です。昭和四十年代、大阪府八尾市に住んでいたころ、小学校の給食で鯨をよく食べました。
僕らの世代は、食生活の基盤ができあがる時代にしっかり鯨を食べさせてもろうて育ってます。
大人になってからもあのざわざわした歯ごたえが大好きで、冬に食べるはりはりなべを楽しみにしていました。
日本人にとって鯨は長年親しんだ食文化。消えてしまうのは寂しいですね。