卵を抱えたまま脱皮しようとしているのが確認されたセイコガニ=22日、福井県越前町
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福井県越前町の越前漁港で水揚げされたばかりのセイコガニが、町内の水産物卸会社の水槽内で、卵を抱いたまま脱皮しようとしていたのが確認された。セイコガニは最終脱皮後に産卵するとされ、定説とは異なる珍しい現象が起きたと地元関係者の注目を集めている。

 確認されたのは同町米ノの鮮魚仲買「かねいち水産」の水槽。22日朝、甲羅の後ろの縁が割れた隙間から新しい胴体の一部が外に出ているのを社員が見つけた。脱皮は成功しないまま途中で死んでいたという。同町厨の道の駅「越前」で同社が運営する鮮魚店「越前うおいち」内に翌日まで展示。山田眞壽美店長は「初めて見た」と驚きを隠せない様子だ。

 日本海区水産研究所の山本岳男主任研究員によると、卵を腹に抱いた状態のセイコガニの脱皮が確認されたのは1966年に島根県で見つかった個体に次ぎ国内2例目。山本研究員は「ごくまれな事例だが、ズワイガニには奇形の個体などが見つかることもある。今回はその一つでは」とみている。産卵に向け脱皮をやめるメカニズムがおかしくなった可能性があるという。

 越前がにミュージアム(同町)によると、セイコガニは生涯に10回脱皮を繰り返す。最終脱皮を終えると、成長のためのエネルギーを産卵向けに使うため脱皮はしないとされるという。このセイコガニは現在、同ミュージアム館で冷凍保存しており、大間憲之主任研究員は「今後の研究に役立てたい」と話している。

配信2017年12月27日 午前7時10分
福井新聞
http://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/276172