防災から「BOSAI」、フェイスブックも参入する世界的ビジネスへ
Forbes JAPAN:2018/01/01 11:30
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KABUKI(歌舞伎)、KAIZEN(改善)、MOTTAINAI(もったいない)などの言葉に続き、いまBOSAI(防災)という日本語が、世界から注目を集めている。

2017年11月25日から28日まで、宮城県仙台市で開催された「世界防災フォーラム/防災ダボス会議@仙台」。この会議の英語名称は「World Bosai Forum」。まさに「Bosai」という日本語が世界に向けて発信された。

経済のグローバル・アジェンダをスイス・ダボスで開かれる「世界経済フォーラム(ダボス会議)」が牽引しているとすれば、この「世界防災フォーラム/防災ダボス会議@仙台」は、防災の分野において日本が世界のリーダーシップを取ろうとするものだ。

「減災」「縮災」「強靭化」という言葉に騙されるな

さて、日本では当たり前に使っている「防災」という言葉だが、災害対策基本法(災対法)では以下のように定義されている。

■災害対策基本法
(昭和36年法律第223号、平成28年5月20日改正)
(定義)第二条 二. 防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう

最近は、「防災から減災へ」「縮災」「強靭化」という言葉が情報操作のごとく使用されているが、それらの言葉を使っている人の多くが、防災の本来の定義を知らないようだ。
とくに東日本大震災以降に、専門家と自称している人達がそれらの言葉を多用しているように見受けられる。

ひと口に言えば、防災の哲学とは総合概念なのである。時間軸についても、事前、事後、復旧のフェーズまでをも対象としている。
これは災害対策基本法に復興に関する明確な言及がないためだと思われるが、東日本大震災のあとには、以下のような大規模災害からの復興に関する法律(復興法)も制定された。

■大規模災害からの復興に関する法律
(平成25年法律第55号、平成29年6月2日改正)
(目的)第一条 大規模な災害を受けた地域の円滑かつ迅速な復興を図るため、その基本理念、政府による復興対策本部の設置及び復興基本方針の策定並びに復興のための特別の措置について定めることにより、
大規模な災害からの復興に向けた取組の推進を図り、もって住民が安心して豊かな生活を営むことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする

今回の「世界防災フォーラム」で日本が世界に発信したのも、まさにこのような点だった。

仙台はいまやBOSAI専門家の聖地

実は、いま防災専門家の間で仙台は聖地となっている。あまり知られていないが、国連の防災政策に対する日本の貢献は、国際社会からも一目置かれている。

「想定外」の研究

防災に関する国連の会議は、1994年の初開催(横浜)から第2回(2005年、神戸)、第3回(2015年、仙台)とこれまですべて日本で開催されている。
第2回までは実務者級会合であったが、第3回会議からは首脳級会議へと格上げされ、国連が開催する会議の中でも、いわゆるハイレベル会議として位置づけられている。

2015年に策定された国連SDGs(持続可能な開発目標)の都市安全や災害レジリエンス向上の考え方も、第3回で採択された「仙台防災枠組2015-2030」が基礎となっている。
仙台枠組は、2015年から2030年までの防災政策上の憲法のようなものであるため、まさに仙台は防災専門家の間では聖地となっている。

COP21のパリ協定を経て、パリは、旧来からの文化芸術都市に加えて、環境とグリーンなアジェンダを牽引する都市として広く認知されている。
マクロン仏大統領は、米国の環境政策変更を機に、フランスが世界の環境アジェンダを牽引すると高らかに宣言している。まさに環境を制約条件として捉えるのではなく、成長戦略として捉えて、そのグローバル・アジェンダを彼らは取りに行こうとしているのだ。

防災は、ハイレベル級の国際会議を日本が牽引している数少ない政策分野だ。
「世界防災フォーラム」の狙いのひとつも、まさにこの成長戦略としての防災にある。

(以下省略)