暴力団対策法に基づく使用制限がかかり、組員の出入りがなくなった工藤会本部事務所=北九州市小倉北区神岳
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2018/01/08/20180108k0000m040139000p/8.jpg?1

特定危険指定暴力団「工藤会」(北九州市)の2016年2〜5月の運営費の収支が毎日新聞が入手した工藤会の内部資料で明らかになった。福岡県警が14年9月に工藤会トップの野村悟被告(71)らを一斉逮捕した「頂上作戦」以降の収支の詳細が判明するのは初めてで、作戦以前の水準から激減しているとみられる。県警による取り締まり強化で資金獲得活動が困難になっており、経費削減を進めて組織の存続を図っている実態が鮮明になった。

内部資料は、工藤会事務局が作成したとみられる収支報告書や上納金滞納者リスト、親交者への中元発送予定者一覧など計78点。毎月9日に工藤会幹部が集まる「事務局会」で配布されたとみられる。毎日新聞が関係者を通じて入手した。

 収支報告書などによると、収入は、16年2月1051万円▽同年3月837万円▽同年4月695万円▽同年5月686万円−−と減少しながら推移。11〜16年に工藤会事務局にいた組幹部は、所得税法違反に問われた野村被告の公判で「11年ごろの収入は月2000万円だったが、(頂上作戦後の)15年は1000万円余りに減った」と証言しており、16年以降も収入減に歯止めがかからない状況が浮かび上がった。

 支出も、16年2月526万円▽同年3月624万円▽同年4月579万円▽同年5月302万円−−と減少し、携帯電話の料金プラン変更や蛍光灯の間引きなどで経費削減を進めていた。一方で同年6月の残金合計が約4000万円との記載もあり、一定の資産を保有していることも分かった。

 背景には、県警の取り締まり強化で組員が建設業者や飲食店などから受け取るみかじめ料(用心棒代)が減っている現状がある。組員は役職に応じてみかじめ料などの収入から現金を上納しているが、内部資料からは上納金を滞納する組員が多数いることも確認された。捜査関係者は「収入減は取り締まり強化に加え、市民に『工藤会排除』の意識が浸透し、資金獲得活動が難しくなってきたことの表れだ」と指摘する。

2018年1月8日 10時00分(最終更新 1月8日 11時59分)
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180108/k00/00m/040/152000c