ニュース-2018/01/05 16:55
Googleが発見した「CPUの脆弱性」とは何なのか。ゲーマーに捧ぐ「正しく恐れる」その方法まとめ

 一般メディアにもニュースとして取り上げられたので,2017年末からにわかに騒がれだした「CPUの脆弱性」については,4Gamer読者も多くが聞き及んでいることだろう。海外では,「Spectre」(スペクター)や「Meltdown」(メルトダウン)といったおどろおどろしい名前が付いているので,そちらを目にしたという読者もいると思う。

 「Intel製のCPUだけが持つ脆弱性で,AMD製のCPUなら問題ない」から始まって,「いやいやAMD製のCPUも同様の脆弱性を抱えている」,さらには「メモリページング方式の仮想記憶を使うCPUのすべてが持つ脆弱性である」などと,情報が錯綜しているので,何を信じたらいいのか分からないという人も多いのではなかろうか。そもそも,メモリページング方式の仮想記憶は,今日(こんにち)のすべてのCPUと,その上で動くOSが使っているので,もし最後の情報が本当なら,現代文明を揺るがしかねない大問題だ。

 では実際のところ,騒がれている「CPUの脆弱性」とは何であって,ゲーマーの生活にも影響はあるのだろうか? 今回は,脆弱性の概要と影響の範囲をまとめ,「正しく恐れる」方法を紹介してみたい。


Googleが公開した脆弱性は3種類

 そもそも今回の脆弱性は,Googleのセキュリティ研究チーム「Project Zero」が北米時間2018年1月3日に発表したものだ。

 情報が錯綜した背景には,Project Zeroの発表したペーパーに,「現代的なCPUアーキテクチャに起因している」という共通点を持ちつつ,それぞれ影響を与えるCPUや影響の範囲が異なる,下に示す3つの脆弱性の存在が挙げられる。

Variant1(CVE-2017-5753):配列の境界チェックバイパス
Variant2(CVE-2017-5715):分岐ターゲットインジェクション
Variant3(CVE-2017-5754):不正なデータキャッシュ読み込み

 冒頭で名前だけ挙げたSpectreはこのうちVariant1とVariant2,MeltdownはVariant3の識別名で,すでに英語の解説ペーパーがpdfとして公開されている。

Spectre解説ペーパー
Meltdown解説ペーパー
※いずれもリンクをクリックするとpdfファイルのダウンロードが始まります。

 各脆弱性の影響を受けることが確認されているCPUをここで列挙しておこう。

Variant1:Intel製の幅広いCPU,Arm製のCPU IPコア,AMD製のCPU
Variant2:Intel製の幅広いCPU,Arm製のCPU IPコア
Variant3:Intel製の幅広いCPU,Arm製のCortex-A75
※AMD製CPUは,原理的にはVariant2の影響を受ける可能性があるものの,Googleのセキュリティチームによると,現時点ではVariant2を使った攻撃が成功していないとのことだ。それもあり,AMDは自社製CPUに関して「Variant2のリスクはゼロに近い」とアナウンスしている。また,AMD製CPUはVariant3の影響を受けない。

(中略)

 いずれにせよ,プログラマーにとってさえ寝耳に水なのだから,ユーザーレベルでできることというのはさほど多くない。ゲーマーとしては,センセーショナルに騒ぎ立てる人達に耳を貸すことなく,慌てず騒がず最新の修正プログラムを施し,怪しいプログラムは実行しないという鉄則を守ることが肝要だろう。
http://www.4gamer.net/games/999/G999902/20180105085/