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■相互直通運転が遅延を拡大か

一方で、遅延日数の少ない路線を見ると、45位は東武野田線の1.4日、44位は東急多摩川線の1.9日、43位は京王井の頭線の3.9日、42位は相鉄線4.2日、41位は東武東上線の4.8日という結果になった。42〜45位は基本的には他路線との相互直通運転をしていない。この結果を見る限り、首都圏各路線の相互直通運転が遅延を拡大しているという見方は正しそうだ。

国交省は、遅延時間が30分を超えたケースの日数も発表している。こちらも多い順に並べてみた。

1位はJR埼京線・川越線(大崎―新宿―武蔵高萩間)の3.5日、2位はJR宇都宮線・高崎線(上野―那須塩原・神保原間)の2.5日、3位はJR東海道線(東京―湯河原間)とJR横須賀線・総武快速線(大船―東京―稲毛間)の2.1日、5位はJR中央・総武線各駅停車(三鷹―千葉間)の1.7日、6位はJR中央快速線・中央本線(東京―甲府間)の1.6日、7位はJR常磐快速線・常磐線(上野―羽島間)、JR武蔵野線(府中本町―西船橋間)、JR京葉線の1.2日、10位はJR京浜東北線・根岸線(大宮―大船間)の1.0日という結果になった。トップ10すべてがJRの路線であり、特に1位のJR埼京線は30分を超える遅れが月に3回以上もあるという現実には驚かされる。

■車両・電気設備の故障も大幅遅延の原因に

国交省の調べでは、10分未満の遅延の主な原因は、乗車時間の超過、ドア再開閉、急病人の発生といった部外原因が94%を占める。車両故障や電気設備の故障といった部内原因は6%しかない。一方で、30分以上の遅延の原因については、自殺、線路立ち入りなど部外原因が68%。係員の取り扱いミスや車両・電気設備の故障といった部内原因は23%という結果となった。自殺や線路立ち入りが発生すると安全確認などで運転再開に時間を要するのと同時に、車両や電気設備の故障も長時間の遅延につながりやすいということだ。

朝夕ラッシュ時の混雑問題については古くから国交省も認識を示していたが、遅延問題について真剣に議論されたのは最近になってからだ。いささか遅きに失した感はあるが、遅延を「見える化」することで、各鉄道事業者はこれまで以上に遅延対策に本腰を入れるはずだ。今回と同じタイミングなら年末にも発表される2017年度の遅延ランキングはどのような結果になっているだろうか。

おわり