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『産経新聞』で八木秀次麗澤大学教授が、政府の「男女共同参画会議」の「基本問題専門調査会」が、
「夫婦別姓を導入するため」の“作戦会議”と化しているとして、議事録の内容を紹介した。

その会議では、なんと選択的夫婦別姓制度を導入することで「どういう影響が表れる」と考えられるのか、
「どうすればよいか」ということが議論されるのではなく、
どの様にすれば、一日も早く「夫婦別姓が実現」できるのか、といった“運動戦略”ばかりが語られている。

    「世論調査の結果を公表することは果たして有利か」だの、「海外事例を紹介するのは、
     逆効果になる可能性があるので止めた方がよい」といったことが話し合われている。

猪口邦子委員が「海外の例ですが、これはあまり前面に出さない方がいいと思うのです」と言ったのを受けて、
樋口恵子委員は「離婚率は、アメリカはもちろんヨーロッパも日本より高いです。婚外子の数もはるかに高い。
だから、そのような家族の崩壊を招いているということになってしまいませんか」と言っている。

    アメリカやヨーロッパで “家族の崩壊” を招いているという事実を承知していながら、

    “だから”「家族崩壊の原因になっているかもしれない別姓については慎重に」 と言うのかと思うと、

    “だから”「そのことは言わない方がいい」 という結論に持っていく。

    まさに、「臭いものには蓋」 という“戦術”を取れと言っているのだ。

「法案が良いかどうかを検討すべき審議会」で、全委員が法案を通す為の戦略・戦術について発言するのが当然とは、
誰がどう見てもおかしい。「調査会はフェミニストの作戦会議と化している」と批判されるのは至極最もである。

【元東京女子大学 文理学部 教授 林 道義】  http://www007.upp.so-net.ne.jp/☆rindou/femi15.html

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夫婦別姓について「全く自由な選択制」を採用している国が一国だけある、それが“スウェーデン”である。
しかし、不思議なことに別姓推進派はスウェーデンについてほとんど触れようとしない。
こうした『スウェーデン隠し』とさえ言える現状は、別姓導入に“都合の悪い”事情があるからに他ならない。

例えば、スウェーデンの離婚率は50%(対婚姻件数比)を超え、平均的な婚姻年数はわずか10年と短い。
事実婚を含めた同棲が非常に多い事も特徴的(同棲が61%・20〜24歳)で、既に結婚は多数派ではなくなっている。

毎年、生まれる新生児の約半数が“非嫡出子”であり、それは95%は「同棲カップル」から生まれている。
その結果、家族形態は当然“複雑”なものになり、都市部を例にとると、最も割合が多いのが「母子のみの家庭」。

  次が、「再婚同士の夫婦」と「それぞれの連れ子で構成される家族」〔“混合家族”〕、
  そして、三番目に両親とその間に生まれた子どもがいる家族が入り、四番目が「父と子の家族」だという。
  これは、日本人からすると “想像を超えた家族形態” と言える。

別姓導入に対しては「家族の一体感を損なう」「家族の絆が弱まる懸念がある」との反対論が根強いが、
推進派は『選択的夫婦別姓』のスウェーデンが“家族崩壊”という事実には触れたくないという事なのであろう。

スウェーデンにおいて最も憂慮されたのが子供の問題で、菱木昭八朗・専修大学名誉教授はこう解説している。
「事実婚の増加によって誰が一番被害を被っているかというと、それは子どもである。
事実婚の解消には何等法的制約がないから簡単に別れることができる。

子供にとって必要なのは只単に物質的豊かさではなく、寧ろ必要なのは両親の愛情とよりよき家庭環境である。
最近のスウェーデンの青少年犯罪統計の示す処からも、非行青少年の発生源は欠陥家庭にあると言われている」。

  事実婚が増加したことを背景として婚姻法の自由化も、そして『姓の選択制』の導入も行われたのだが、
  スウェーデンでは、その裏側で“犠牲”になったのは、“子ども”だというのである。
  わが国でも、別姓問題の世論調査で“七割近い国民”が「子どもへの影響」を“憂慮”している。

  【日本政策研究センター 『明日への選択』平成14年1月号】      (91347)
   http://www.sei☆saku-ce☆nter.net/node/266