着物の販売・レンタルなどを手がける「はれのひ」(横浜市中区)が突如店を閉じ、予約していた新成人客が8日の成人式で晴れ着を着られなくなった問題で、各地の消費相談窓口などには9日も朝から相談などが相次いだ。被害者の会を作る動きも出てきた。

 同社の店舗がある東京都八王子市の消費生活センターでは、始業時間の9日午前9時から、相談の電話が鳴りやまない状況が続いた。「4本ある回線がずっとつながったまま。『はれのひ』の顧客からで『今後どうしたらいいのか』という内容ばかり」と担当者は話す。

 本社と店舗がある神奈川県内の窓口にも、9日午前11時までに少なくとも50件の相談が寄せられた。「かながわ中央消費生活センター」によると、中にはすでに来年や再来年の成人式のためレンタルや購入の契約を済ませた人たちもいて、「どうしたらいいのか」と困惑した様子だという。

 「事業者とまったく連絡がつかない状況ではあるが、契約書を保管しておくよう伝えている」と同センターの担当者。今も分割で支払いをしている人には、クレジット会社が支払いを止めるなどの対応をする場合もあるので、状況を確認しているという。

 横浜市消費生活総合センター(同市港南区)は相談窓口を設置した。

 9日朝までに警視庁にも約100件、神奈川県警に82件の相談や通報が寄せられている。

 一方、着物の業界誌を発行する「きものと宝飾社」(京都市)は「はれのひ株式会社被害者の会」を立ち上げた。京都にある呉服問屋などから風評被害を恐れる声が上がったのがきっかけ。ホームページ上で、トラブルに巻き込まれた客や賛同者らを募っている。

 松尾俊亮編集長は「大学の卒業式や来年の成人式のための代金を振り込んだ人もいると聞いている。訴訟も視野に支援を広げたい」としている。

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 江崎鉄磨消費者相は9日午前の閣議後会見で、晴れ着を着られなかった新成人について、「どれほど楽しみにしておられたか。親御さんもこれほど残念なことはない」と話した。また、消費者庁としても情報収集にあたっているという。窓口は各地の消費生活相談窓口を案内する消費者ホットライン「※電話番号はソース先確認」。

配信2018年1月9日13時04分
朝日新聞デジタル
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