■ジープ初のSUV

 1962年にジープブランドは、1963年モデルとして『ワゴニア』を導入した。

 四輪駆動車では初めての自動変速機を採用したり、最初のオーバーヘッドカム6気筒エンジンや独立したフロントサスペンションを採用するなど、四輪駆動車に革命を起こしたのも『ワゴニア』の功績だ。また、最初の自動フルタイム4WDシステムも採用していた。

 美しいスタイリングはデザイナー、ブルックス・スティーブンによるもの。現代的なスタイリングと美貌を持ち、革新的な技術の数々を採用したことにより、わずかな変更で28年以上も生産された、傑作SUVだった。

■ホンダからも販売されたモノコックボディの革命児

 1984年から発売された2代目『チェロキー』。

 オイルショックで低迷した'70年代の販売不振を払拭するために大胆な設計がなされ、先代に比べて全長で53cm、幅で15cm、高さ10cmも小さく、450kgも軽量化が図られた。貢献したのは従来のフレーム構造をやめて、モノコックボディにしたことが大きい。スクエアでクリーンなスタイリングは新しい時代を予感させ、それでいて前後リジットアクスルのタフさはジープの名に恥じない。

 当然、大ヒットを記録したこの『チェロキー』は日本へも輸入され、ホンダも販売ディーラーとなるなど、日本人にもなじみ深いモデルとなった。日常の足にもオフロードでも負けないタフさを持つ同車は、以降のジープが進むべき指針をもたらしたともいえる、歴史的なモデルだ。

■75周年を迎えた現代のジープ

 タフなギアとして伝統を受け継ぐジープは現在、7車種のラインアップを誇る(日本での販売は6車種)。

 まずは、ウィリス クアッド、MA、MBの系譜を受け継ぐ『ラングラー』。そしてロングホールベース+4ドアの『ラングラー アンリミテッド』、ベストSUVの数々に輝く『チェロキー』、V8も搭載可能なプレミアムSUV『グランド チェロキー』、日本にもジャストサイズの『コンパス』、1.4Lのダウンサイジングターボエンジンを搭載する、新時代のスモールSUV『レネゲード』、日本未発売だが本国で人気の『パトリオット』だ。

 軍用車をルーツに持ち、コンパクトからフルサイズまで、全車がアイコニックな7スロットグリルをシェアするタフなジープ。次の100周年に向けて元気いっぱいのSUV専門メーカーのこれからの進化の行く末が楽しみだ。

文/中馬幹弘(ちゅうま)