https://www.cnn.co.jp/m/fringe/35112942.html

2018.01.10 Wed posted at 12:30 JST
(CNN) 先進諸国の19歳以下の死亡率を比較した研究で、米国が1980年代からずっと最下位に位置していることが分かった。特に新生児の死亡や若者の自動車事故死、銃で撃たれて死亡する例が目立っている。

米ジョンズ・ホプキンズ病院のアシシュ・サクラール博士らのチームは国際プロジェクトのヒューマン・モータリティー・データベース(HMD)や世界保健機関(WHO)のデータを基に、経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち豊かな民主国家とされる20カ国について、1961〜2010年の子どもの死亡率を比較。医療政策専門誌の最新号に発表した。

それによると、子どもの死亡率はこの50年のうちに全体として次第に下がってきたものの米国はペースが遅く、19歳以下の全ての年齢で男女を問わず、他国より高い死亡率を示していることが分かった。


特に01〜10年の期間、米国は対象国全体の平均に比べて乳児の死亡率が約75%、1〜19歳の死亡率が約50%も高かった。この期間はニュージーランドもほぼ同じ率を示していた。スウェーデンや日本、アイスランドの死亡率は平均を下回った。

50年間で全年齢の子どもの死亡率が最も低かったのはスウェーデンだった。

米国で他国より多かったのは、早産や乳幼児突然死症候群(SIDS)を含む乳児の死亡例。この傾向はかねてから指摘されてきたが、数十年前から続いていたことが今回新たに判明したという。

また十代男子がけがで亡くなる例が非常に多く、15〜19歳の間に銃で撃たれて死亡する率は他国の82倍にも及ぶことが分かった。

この研究の問題点としては、死亡例の集計法や死因のデータが国や時代によって異なること、人種や経済状況などで分類した情報が欠けていることが挙げられる。

しかし米国では胎児に影響を及ぼす妊婦の健康状態や、銃による暴力が高い死亡率につながっていることは明らかだと、専門家は指摘する。サクラール博士は、こうした死の多くは未然に防ぐことができるとの見方を示し、そのためには子どもたちが育つ社会環境全体を変える努力が必要だと強調している。

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