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ドナルド・トランプ米大統領は11日、2月に予定していた英国訪問を取りやめたと明らかにした。トランプ氏は、10億ドル(約1100億円)かけて新築したロンドンの在英国米国大使館の落成式に出席するはずだった。

トランプ氏はツイッターで、新しい米国大使館について「大ファンとは言えない」と書いた。大使館はロンドンの高級住宅地メイフェアからテムズ川南のボクソールに移転するが、トランプ氏はこれについて「ひどい取引だ」としている。

大使館の旧敷地はオバマ政権が「二束三文」で売り払ってしまったと、トランプ氏は付け加えた。米国大使館移転は実際には、ジョージ・W・ブッシュ元大統領がまだホワイトハウスにいた2008年10月に決定した。

トランプ氏はツイッターで、「オバマ政権はおそらくロンドンで最も良い場所に建つ、最高の大使館を『二束三文』で売り払った。自分はその決定の大ファンとは言えない。だから、ロンドン訪問を取りやめた。新しいのは中心地から外れた場所で12億ドルもかかった。ひどい取引だ。テープカットを頼まれたが断る!」と書いた。

落成式には代わりにレックス・ティラーソン米国務長官が出席する可能性がある。
中止された訪英は、テリーザ・メイ英首相が大統領に提示した公式訪問とは別。トランプ氏の公式訪問は時期未定で、英国内で激しい賛否の議論が起きている。
トランプ氏は昨年、メイ首相とホワイトハウスで会談した際に、エリザベス英女王からの正式な外国訪問の招待を受諾していた。

英国首相官邸は、トランプ氏の2月訪英取り消しについてコメントを控えるとしている。
トランプ氏の移民政策などについてこれまで何度か衝突してきたロンドンのサディク・カーン市長は、ロンドン市民の多くは米国や米国人を愛し尊敬しているが、大統領の政策や行動は「包摂と多様性と寛容というこの街の価値観の対極にある」と考えており、大統領も「そのことが分かった」ようだとツイート。さらに、大統領が訪英すれば「確実に、大規模な平和的抗議が出迎えたはずだ」と書いた。

BBCのジョン・ソープル北米編集長は、ロンドン市内で抗議デモが起きる可能性も、今回の判断に影響したかもしれないと指摘した。

トランプ氏の2月訪英では、メイ首相との首相別邸「チェッカーズ」か首相官邸での会談のほか、女王との昼食会も予定されていた。しかし、BBCのジェームズ・ランデール外交担当編集委員によると、これまで具体的な日程が合意されたことはなく、ホワイトハウス側も「訪問の詳細を決定」していなかった。

ウッディ・ジョンソン駐英米国大使は昨年12月、トランプ氏が2018年に「必ず」訪英するだろうとBBCに話していた。

2017年6月の女王演説では、トランプ氏の訪英について言及はなかったが、首相官邸報道官はすでに招待が「出され、受領された」と話していた。

メイ首相は2017年1月に米大統領執務室を訪れ、就任後のトランプ氏と会見した最初の外国指導者となった。
公式訪問では通常、英政府と、公式訪問する国の政府、そして英王室が詳細のスケジュールについて合意し、エリザベス女王が正式な主催者役をこなす。
トランプ氏が昨年末、エルサレムをイスラエルの首都だと認定したことも、英米間の政策の食い違いが表面化する一例となった。
エルサレムに関する米国の決定についてメイ首相は、「地域の和平実現の見通しの助けにならない」として同意しないと語っていた。

昨年11月には、英国の極右団体ブリテン・ファーストが投稿したビデオのツイッター投稿をトランプ大統領がリツイート。メイ氏はこれを「間違っている」と述べ、両者は衝突した。
最近では、メイ首相はトランプ大統領とのクリスマス前の電話会談で、英国の欧州連合(EU)離脱や中東地域情勢について協議している。

(英語記事 Donald Trump cancels February visit to UK)