任天堂に訴えられたコロプラが妙に強気な「真意」を分析してみた 2018年1月11日

コロプラは特許侵害を指摘された機能を修正もせず、それどころか他のゲームにも展開して絶賛使用中である。
「当社のゲームが任天堂の特許権を侵害する事実は一切無いものと確信しており」と自信満々過ぎる。

弁理士・栗原潔さんの記事を参考にさせていただき、私も「タッチパネル」「ジョイスティック」でキーワード検索した。
やはり栗原潔さんが推理された特許3734820号がど本命だと思った。
これはニンテンドーDSに用いられた技術であるが、画面の中にジョイスティックを登場させ、タッチパネルを用いてそのジョイスティックを操作する発明である。
そして、これがまさに白猫プロジェクトに採用されている「ぷにコン」のベースとなる発明と言って良い。

任天堂の特許3734820号は「ぷにコン」の基礎技術を完全に網羅した、大変強力な特許である。
わからないのは、コロプラの態度である。任天堂から特許侵害を通知されたのが2016年9月であるにも関わらず、1年3ヶ月も「ぷにコン」をそのまま放置している。

通常このように特許侵害を通知された場合、表面上は「特許侵害していません」と言いつつ、指摘された機能を修正してより確実に特許を回避するものだ。

しかしコロプラは変更するどころか、「バトルガール ハイスクール」、「ドラゴンプロジェクト」、「激突!! Jリーグぷにコンサッカー」と他のタイトルにまでどんどん「ぷにコン」を採用し続けている。
「ぷにコン」の仕様を変更したら、特許侵害の賠償は変更前までの金銭だけで済む。
これからもコロプラの屋台骨を支えるキラーコンテンツの配信停止という最悪の事態は避けられる。

このコロプラの強気の理由はなんなのか?事務機器メーカーで10年以上、多数の特許侵害と向き合ってきた経験から推測してみたい。

推測1 本気で特許侵害していないと信じている
「任天堂の特許権を侵害する事実は一切無いものと確信」と主張しているし、矛盾は無い。しかし、この可能性は非常に低いと考える。
実はコロプラはベンチャー企業としては異例な程に特許に熱心な会社である。
2013年に佐竹さんという弁理士の方が入社されており、非常に特許出願を推進している。
特許の数は、ここ2年で飛躍的に伸ばしている。任天堂の2017年の特許件数が137件で匹敵する勢いである。
2013年に入社した佐竹氏は「武器がなければ、そもそも話し合いのテーブルにすら入れない」
「まず、特許を取得しまくるというステージが最初にあって」「ここ数年、どんどん特許を取っています」と述べており、2015年あたりからスマホゲームのシステム、VR技術などの特許をバンバン取っている。
そこまで特許に熱心であり社内に弁理士がいる会社が、あの特許侵害を問題無いと判断したとは考え難い。

推測2 裁判で負けても仕方ないと考えている
特許侵害は外部からは簡単にはわからない事が多く「バレる事は無い」と堂々と特許侵害をしている会社はある。
任天堂が提訴した賠償額は44億円である。裁判で負けたとしても最初からライセンス契約を結んでいた場合の支払いと大差無い。
しかし、任天堂は賠償金44億円に加えて配信停止を求めている。これが致命的だ。
白猫プロジェクトはまだまだ人気であり、2018年も200億円近い売り上げを叩き出すだろう。
賠償金を払えば利益が全て吹っ飛ぶし、配信停止ならば売り上げも半減だ。

推測3 強力な隠し球を持っている
特許侵害の争いでは、自分たちの製品が相手の特許を侵害していても、全く別の方法で「引き分け」を狙う事ができるのだ。
そのための「隠し球」をコロプラが持っている可能性がある。

その1つが、「特許無効化」である。
特許出願前に似たような発明が既に存在している証拠を掴み、それを特許庁に突きつけるのだ。
成功すると任天堂の特許が最初から無かった事になる。
実は、任天堂は2016年に特許3734820号の訂正を申請している。もしかしたら何らかの無効化資料を発見し、その対策をしたのかもしれない。流石の任天堂法務部である。

2つ目が、「クロスライセンスの締結」である。
コロプラが任天堂の特許を侵害している事を素直に認めながら、「任天堂もコロプラの特許を侵害していますよね」と逆に訴えるのだ。
コロプラは近年の大量出願のおかげで312件もの特許を保有している。クロスライセンス交渉に自信があったからならば、色々と辻褄は合う。

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