http://www.asahi.com/articles/ASL1D5GKRL1DOIPE025.html

 国と都道府県が管理する歩道橋約6800橋のうち、2割近くが道路法に基づく設置基準を満たしていなかったことがわかった。転落を防ぐ柵の間隔が広すぎるといい、国土交通省などが補修を進めている。一方で、「設置基準そのものが不十分では」との指摘もある。

 埼玉県行田市の国道で昨年4月、女児(1)が歩道橋から転落し、約5メートル下の道路で頭を打って大けがをした。県によると、転落防止柵の間から落ちたとみられている。柵の間隔は15〜20センチだったという。

 歩道橋の転落防止柵の間隔は、道路法で「容易にすり抜けられないもの」と定められており、国交省の担当者は「15センチ以下と判断している」と説明する。歩き始める1歳児の平均的な頭長(額から後頭部の長さ)を「15・7センチ」と考えたという。

 埼玉での事故後、国交省は国管理の歩道橋を緊急点検した。柵の間隔が15センチを超えたのは595橋。いずれも現在の設置基準が定められた1986年7月より前に設計されたため違法ではない。また、違反しても罰則はない。国交省は昨夏、柵の間にロープを張るなどの緊急対策を行った。さらにパネルやネットなどを取り付ける工事も進めている。

 国交省は昨夏、各地方整備局を通じて自治体に対策を呼びかけた。朝日新聞の取材では、昨年11月末時点で44都道府県が点検済みか点検中。都道府県管理の計約4200橋のうち計約590橋の転落防止柵が設置基準を満たしておらず、補修している。残る岩手、茨城、和歌山の3県も点検する予定だ。

https://www.asahicom.jp/articles/images/AS20180112003316_comm.jpg