http://www.sankei.com/smp/west/news/180114/wst1801140011-s1.html

手術、抗がん剤、放射線療法に次ぐがんの「第4の治療」として注目されている免疫治療。2020年代の半ばには治療の半数を占めるという予測もある。国内外の製薬企業や研究機関は、その一種であるがんペプチドワクチンの開発をこぞって進めている。

 塩野義製薬では治療の難しい食道がんなどに対するがんペプチドワクチン開発を行っている。近畿大学の研究成果を基に、臨床試験を実施中で、新薬の元となるペプチドの量産技術も確立している。

 NECは新薬の候補物質を効率的に発見するための人工知能(AI)を用いた技術を開発して、山口大学などと研究を進め、肝細胞がんや食道がんに対するペプチド候補を発見した。

 創薬ベンチャーのブライトパス・バイオはがんの個別化医療の先駆けとなりそうながんワクチンを開発中だ。個々の患者でがん細胞に作用する免疫が異なることから、投与前に一度検査をしてから、患者ごとに異なるワクチンを選択・投与する。世界での製造販売の権利を富士フイルムに譲渡した前立腺がん対象のワクチンは、現在、臨床試験の最終段階に入っている。

 がんペプチドワクチン研究の歴史は長いが、効果の証明が困難な部分があり、これまで治療薬として販売につながった事例はない。各製薬会社などのさらなる研究、開発が待たれる。(安田奈緒美)