シンド州カラチで抗議デモをする女性たち
https://o.aolcdn.com/images/dims3/GLOB/crop/5440x2724+0+427/resize/630x315!/format/jpg/quality/85/http%3A%2F%2Fo.aolcdn.com%2Fhss%2Fstorage%2Fmidas%2F40780c731091799b692c1ae5191cd7fa%2F206028868%2Fpakistani-civil-society-activists-take-part-in-a-protest-after-a-was-picture-id904189456
シンド州カラチで、7歳少女の画像を掲げながら抗議活動を行うデモ隊
https://o.aolcdn.com/images/dims?crop=3653%2C2282%2C0%2C0&;quality=85&format=jpg&resize=630%2C394&image_uri=http%3A%2F%2Fo.aolcdn.com%2Fhss%2Fstorage%2Fmidas%2Fd8529098e203e95d2b9dee3ec010b58%2F206028873%2Fpakistani-human-rights-activists-carry-placards-and-banners-during-a-picture-id903766842&client=a1acac3e1b3290917d92&signature=472b6b426aa3a10544cef225602ebb0cb63b9df2

■高まる抗議活動

SNS上では、被害者への正義を求めるハッシュタグが数多くシェアされる一方で、カスールの事件に対する抗議活動が高まり、人々の関心を集めた。

怒った地元住民が警察署に押し寄せ、副署長に襲いかかろうとしたところを警官が発砲し、抗議活動に参加していた2人が犠牲となった。パキスタンの新聞「ドーン」によると、警察官4人を含む6人の治安当局者が、市民に発砲した容疑で逮捕された。

ハフポストインド版は、殺害された7歳少女の両親が彼女の写真を公開することに合意していたかどうかについて確認できなかった。しかし少女の写真は、すでにあらゆるニュースメディアやSNSに掲載されている。しかし、「ドーン」紙のサイーフ・ウラー・チーマ記者はハフポストインド版に対し、「PEMRA(パキスタン電子メディア委員会)の命令により、報道機関はぼかしを入れずに被害者の写真を公開することは許されていない」と述べた。クリケットプレーヤーから政治家に転身した、パキスタン正義運動(PTI)のイムラン・カーン党首は、被害者少女の写真を投稿して暴行を非難し、1万2000回以上もリツイートされた。

しかし、専門家によると、被害者への正義が実現する道のりは長く、一筋縄ではいかないという。また抗議活動はごく一時的なものになる懸念もある。全パキスタン・フェミニスト協会の創設者シュマイラ・フセイン・シャハニ氏によると、抗議活動は被害者の写真がSNS上で拡散し始めたころから過熱したという。おそらく、被害者の姿を目の当たりにしたことで、ただ事件の内容が報じられただけよりも世論の怒りに火がついたのだろう。以前から同様の事件が繰り返されていたのに、パキスタン国内外から今回のような大規模な抗議活動は起きなかったのはそうした理由からだ。

シャハニ氏はハフポストインド版に、次のように語った。

「カスールでは2015年以降700件以上に及ぶ児童性的虐待が報告されている。これには2015年のフセインカーンワラの事件も含まれています。2017年には11人の児童が同様に誘拐され、レイプされ、殺されていますが、今回のように抗議の声が上がる機運は高まりませんでした。7歳少女の殺害が報じられた数時間後に、ファイサラーバードでは15歳少年がレイプされ、殺害された報道されましたが、気に留める人はいたでしょうか? 7歳少女の事件が起きてから、2つの事件が報告されています。1つはシンド州スックルで、レイプ犯が無抵抗の少女に火を付けました。もう1つは、16歳の児童がレイプされ殺害されました」

シャハニ氏はさらに、政治家は口をそろえて正義の実現を約束しているが、彼らの怒りは偽善的だと批判した。

「抗議活動では、パンジャブ州に性教育を学校のカリキュラムに取り入れ、性教育や性的虐待について対話する時間を作るよう求めています。パキスタンで放送されたテレビドラマ『Udaari』では、ペドフィリア(児童性愛)の問題に触れたことから、PEMRAはわいせつな内容を放送したとしてテレビ局に警告しています。国からすれば、この問題を取り上げることは、すなわち『わいせつ』にあたるのです。しかし、児童性的虐待の問題について触れないで、どうやって認知を広げることが出来るのでしょう。性教育をせずに、他にどんな方法で子供たちを救えるのでしょう?」