化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)は16日、主力ワクチンの一つ、日本脳炎ワクチンの出荷を販売会社を通して再開した。熊本地震の影響で生産が一時停止し、在庫切れに伴い欠品が生じていた。

 化血研はワクチン類17製品を生産し、日本脳炎ワクチンを製造する国内2社の一つ。地震で北区の本所の設備が損傷。生産は地震直後の16年4月から2、3カ月程度停止した。

 その後、同ワクチンの生産は再開したものの、生産能力が低下。定期接種になった北海道などで需要が拡大したこともあり、供給が追いつかず17年3月に出荷を停止した。5月には「販売会社の在庫が切れ次第、一定期間供給できなくなる」と発表。化血研からの出荷は「継続して出荷ができる一定量まで在庫を積み増す必要があった」として、同年12月まで停止していた。

 同ワクチンを巡っては、厚生労働省が2016年10月、承認書と異なる方法で製造していたとして、医薬品医療機器法に基づく業務改善命令を出す方針を公表。これに対し、化血研は未承認製造を否定する報告書と弁明書を提出し、不正製造と隠蔽[いんぺい]を指摘する同省に反論していた。1年以上が経過した現在も、同省から処分するかどうかの通知は出ていない。

 化血研は処分について「国から回答は何も来てない。出荷再開は国にも報告している。国と連携して安定供給に最大限努めていく」と話した。

 同省監視指導・麻薬対策課は「まだ処分の結論は決まっていない。現状では化血研が改善に向けた取り組みを進めており、状況を確認している。品質は問題がない」と説明した。(猿渡将樹、内田裕之)

(2018年1月17日付 熊本日日新聞朝刊掲載)
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