◆謝って済むなら謝ったほうがいい

この騒動ではAの論理のすり替えが責められるべきで、高須氏に非はない。

一方で、高須氏の一件とは別の問題になるが、もうひとつ、謝罪においては「怒っている人にはとにかく謝る」
という姿勢を持つことも大切だ。人が怒るのにはそれなりの理由がある。謝罪によって多額の賠償金を取られるのであれば、
謝ることには慎重になった方がいいが、そうでなく「気持ちの問題」の場合は謝罪した方がいい。

さて、この「謝り時」と「とにかく謝る」で印象的だったできごとがある。2001年、博報堂を入社4年目で辞めた私は、
朝日新聞が発行するタブロイド紙「セブン」のライターになった。ライター未経験だったのだが、会社員時代の先輩である
嶋浩一郎氏(現・博報堂ケトル共同CEO)が当時朝日新聞に出向しており、「お前暇だろ?」と誘ってくれたのだ。

911の米同時多発テロの時期に発行していた新聞だっただけに、Bさんという女性ライターとイスラム教関連の特集をよく作っていた。

ある時、Bさんが嶋さんに救いを求める電話をかけてきた。

「たいへんです! 山田先生(仮名)が激怒しています! 私の書いた内容が全然ダメで理解が足りん! 上の者を出せと言っています!」

Bさんはイスラム教関連の大家である山田先生に取材。執筆した原稿を先生にチェックしてもらったところ、
意図がずれていると激怒されたのである。まだ世に出す前なんだからそんなに怒ることはないだろうよ……とも思うのだが、
先生にとってはまともに対応したにもかかわらず、記者の理解不足が腹立たしかったのだろう。

嶋さんはBさんに対し「分かった。とにかく行けばいいのね」と言い、すぐに朝日新聞社を出て山田先生の勤務する大学に向かった。
「このたびは大変失礼しました。原稿の問題点をぜひともご教授ください」と嶋さんが頭を下げたところ、山田先生は「キミは分かってるね! 
いいね、いいね!」と相好を崩したのだという。

嶋さんにこの時の真意を聞いた。「Bさんの原稿、理解できるし、そこまでひどくないじゃないですか」と。すると嶋さんは
「いやぁ、そうはいっても怒っている人がいたら謝らなくちゃいけないよなぁ……」と言った。そしてこう続ける。
「謝って済むんだったら、謝った方がいいんだよ」。

◆「謝ったら死ぬ病」は友人も失う

「謝ったら死ぬ病」にかかっている人は、こうした判断ができない。時には「利」だけで判断して謝罪をしてしまった方が、
ものごとがすんなりと終わるかもしれない。心にもない謝罪をするのはプライドが許さないというのは無意味である。謝るだけだったらタダだ。

あと、客観的に見て自分に非があるのが明白な場合は何よりも早く謝罪を。本稿で紹介したAはどう好意的に見てもAに非がある。
ここでどう体裁を取り繕おうとしても、無駄な悪あがきをしていてみっともないやつだと思われて終わる。往生際が悪いとさらに印象が悪くなるだけだ。

最後にもうひとつ、「謝ったら死ぬ病」の人は友人を失うこともあると思うので、ご注意を。


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