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1月22日 14時26分
ことしの春闘について、NHKが主要な企業100社を対象に調査したところ、半数を超える54社が賃上げを検討しているものの、経団連が数値目標として掲げる3%以上の賃上げを行うと回答した企業は4社にとどまりました。

NHKは、先月から今月中旬にかけて製造業や流通業など主要な企業、100社を対象にことしの春闘に関するアンケート調査を行いました。

それによりますと、何らかの形で賃上げを検討するかどうかをたずねたところ、「検討する」と回答した企業は54社で、「検討しない」は5社でした。

賃上げの具体的な方法について複数回答でたずねたところ、「定期昇給」が最も多く34社、次いで「賞与・一時金の引き上げ」が21社、「ベースアップに相当する基本給の一律引き上げ」は15社でした。

そのうえで、経団連が安倍総理大臣の要請に応じ、賃上げの水準として「3%」という数値目標を掲げたことについて聞いたところ、「3%以上の賃上げを行う」と回答した企業は4社にとどまりました。

好調な業績を背景に多くの企業が賃上げを検討しているものの、去年までの水準を上回る3%の賃上げには慎重な姿勢がうかがえます。

一方、ことしの春闘で主要なテーマになる「働き方改革」に関して、長時間労働の是正に向けた具体的な対策をたずねたところ、従業員が勤務時間を自由に選べる「フレックスタイム制」を導入していると回答した企業が70社、残業をする場合はあらかじめ上司への申請を必要とする「残業の事前申告制」を設けている企業が58社に上りました。

また、「深夜労働や定刻以降の時間外労働を禁止」している企業が22社、「朝型勤務」を導入している企業が16社でした。

賃上げ水準3% 苦悩する企業

経団連が賃上げの水準として3%という高い数値目標を掲げる中、どの程度の水準まで賃上げを行うべきか、悩む企業もあります。
国内で3700人の従業員を抱える大手エンジン部品メーカー「ケーヒン」です。

去年は2.07%の賃上げを実施しましたが、ことしも業績が堅調なため、賃上げを検討しています。

その一方で、自動車業界で加速する電動化=EVシフトに対応するため、今後3年間でこれまでより50%多い700億円の設備投資を計画しています。
限られた経営資源の中で、どの程度を従業員の賃上げに充てるべきか。難しい決断を迫られています。

横田千年社長は「電動化に対応しないと会社が生き残っていけない。まさに、ことし来年再来年が電動化に向けて準備するいちばん重要な時期なので、その投資をしながら従業員の待遇改善もしないといけないが、賃上げ3%というのは非常に高い目標だと思う」と話しています。

サラリーマンは…

ことしの春闘で焦点となっている賃上げについて、東京・新橋で聞きました。

20代の会社員の男性は「今の賃金では生活に余裕がありません。賃金が上がればもっと買い物をしたり、遊びに行けるので、ことしは上がってほしいです」と話していました。

また、30代の会社員の女性は「ここ数年、賃金は少しずつ上がっていますが、働き方改革で残業ができなくなっていて、残業代が減っています。10%や20%、賃金が上がればいろいろと買い物もできると思う」と話していました。

また、40代の会社員の男性は「長い間、賃金が上がっているという実感はありません。賃上げをせずに内部留保に充てる企業が多く、ことしの春闘もあまり期待はしていません」と話していました。
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