http://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-42829439

パラブ・ゴーシュ科学担当編集委員、BBCニュース

国際研究チームはこのほど、イスラエルで2002年に見つかった化石が、アフリカ以外で最も古い現生人類(ホモ・サピエンス)のものだと分かったと発表した。人類がアフリカから分散した時期が従来の説よりも早かった可能性が出ている。

化石は約18万5000年前のものとみられ、アフリカ以外でこれまで最も古い現生人類のものとされてきた化石より8万年ほど前になる。

研究結果は科学誌「サイエンス」に掲載された。

研究の共同筆頭著者、テルアビブ大学のイスラエル・ヘルシュコビッツ教授はBBCニュースに対し、今回の発見によって現生人類の進化についての見方に根本的な修正が迫られると語った。

同教授は、「人類の進化の物語全体が書き換えられる必要がある。我々の種だけでなく、当時アフリカの外で生きていたほかのすべての種についても」と説明した。
今回の研究に参加していないロンドン自然史博物館のクリス・ストリンガー教授は、「今回の発見は、現生人類は13万年前以前にはアフリカにしかいなかったという、長らく信じられてきた限界を打ち砕いた。新たな年代決定は、もっと古いホモ・サピエンスでさえ西アジア地域で発見される可能性を示唆している」と語った。

新たな年代決定の証拠が出たことで、現生人類とすでに絶滅したほかのヒトの種との間に、何万年にもわたる交流があった可能性が示されている。また、従来の説よりも早い時期に人類がアフリカから旅立っていたことを示唆する、最近の発掘成果や遺伝子研究の成果とも一致する。
研究者たちは、2002年にイスラエルのミスリヤ洞窟で見つかったあごの骨の一部を分析した。歯が8本残る骨はその特徴から、同時代に生きていた現生人類以外の種ではなく、現生人類のものだと指摘されていた。
(リンク先に続きあり)

(英語記事 Modern humans left Africa much earlier)
2018/01/26

発見当時に考古学者が当初抱いた印象が正しかったことが今回、国際研究チームによって証明された形となった。
研究者たちは、コンピューター断層撮影(CT)によって3Dのバーチャル模型を作り、アフリカや欧州、アジアで見つかったヒトの化石や現生人類のヒトの骨と比較。あごの骨が現生人類のものだと確認した。これとは別に、歯冠の下の組織をスキャンし、現生人類だけに見られる特徴があるのを発見した。
それぞれ異なる年代測定方法を使う3つの研究施設が、お互いの測定結果を知らされずに出した、この化石化した骨の年代特定では、17万7000年から19万4000年前となった。
これまでアフリカ以外で最も古いとされてきたヒトの化石は、イスラエルにある発掘現場のスクールとカフゼーで見つかった9万年から12万5000年前のものだ。