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2018年1月28日 14:15 発信地:アザーズ/シリア
【1月28日 AFP】隣国シリアで軍事作戦を実施しているトルコは27日、クルド人が支配するシリア北部マンビジ(Manbij)に展開している米軍部隊の撤退を強く求めた。

 作戦が2週目に入り、空爆や砲撃が新たに行われる中、トルコのメブリュト・チャブシオール(Mevlut Cavusoglu)外相は「(米軍は)マンビジからの即時撤退が必要だ」と強調した。

 トルコ軍は今月20日、テロ集団と見なしているシリアのクルド人組織「民主統一党(PYD)」傘下の民兵部隊「クルド人民防衛部隊(YPG)」をシリア北西部アフリン(Afrin)から排除する「オリーブの枝」作戦を開始。シリア反体制派武装組織を支援する形で地上部隊を投入し、空爆を行っている。

 トルコのトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領はYPGに対する攻撃を、アフリン東方のマンビジに拡大する可能性を警告している。マンビジ自体は2016年、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が首都と位置付けていたシリア北部ラッカ(Raqa)の奪還作戦の一環で米国が支援するクルド人主導部隊「シリア民主軍(Syrian Democratic Forces)」がISから奪い返していた。

 トルコ大統領府は、米国のH・R・マクマスター(H.R. McMaster)大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が26日遅くトルコのイブラヒム・カルン(Ibrahim Kalin)大統領報道官に電話で、米政府は今後YPGへの「武器供与」を停止すると語ったとしている。

■増える犠牲、人道上の「悲劇」の恐れ

 トルコ軍はオリーブの枝作戦で「少なくとも394人のテロ組織のメンバーを無力化した」と発表した。ただしこの人数は別の情報源で確認は取れていない。

 シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)によると、作戦が始まった今月20日以降、トルコ政府が支援した武装勢力とクルド人戦闘員の双方の死者は合わせて111人。同監視団は民間人38人も主にトルコ軍の砲撃によって死亡したとしているが、トルコ政府はこれを強く否定している。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は、作戦開始以降少なくとも11人の子供が死亡したと発表した。

 アフリンにいる医療従事者らはAFPに対し、一連の戦闘が人道上の「悲劇」をもたらすことを恐れていると話している。アフリンの基幹的病院の院長ハリル・サブリ・アハメド(Khalil Sabri Ahmed)氏は「民間人を救うために必要な医薬品と人道支援物資はまもなく底を突く」と語った。

 トルコ災害緊急事態管理庁(AFAD)のメフメト・ギュルオール(Mehmet Gulluoglu)長官は、アフリンから避難民が来る可能性に備え、トルコ国境に近いシリア北部の町で、トルコの支援を受けたシリア反体制派が掌握しているアザーズ(Azaz)にキャンプを設置する計画を立案中だと述べた。(c)AFP/Fulya Ozerkan with Raziye Akkoc in Ankara